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[総体]ユース取材ライター・川端暁彦氏が選ぶ大会MVP、ベスト11、ベストマッチ

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平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技

ユース取材記者が選ぶ大会MVP、ベスト11、ベストゲーム(2)
(文・川端暁彦)

●MVP
MF増山朝陽(東福岡高、3年)
「(ベスト11で個人的に選考基準とした)東京五輪世代からMVPを選べと言われれば、やはりこの男しかいないだろう。図抜けた身体能力を武器に、戦車のごとく対峙するサイドバックたちを蹴散らしていった。まさに優勝の原動力。より高いレベルで観てみたい選手だ」

●ベスト11
「涼しい日が多かったこともあったのか、例年以上に熱のある試合の続いた高校総体。そこから11人を選ぶのは困難な作業だ。今回は自主的に『東京五輪世代』という縛りを設けて選んでみたい。資格があるのは1997年1月1日以降に生まれた選手たち。つまり、早生まれの高校3年生と1、2年生が対象となる。上位進出校だけでなく、4強未満の高校からも『これは』と思った素材感のある選手はチョイスしてみた」

▽GK
立川小太郎(初芝橋本高、3年)
「立ち姿だけでインプレッションを与える初橋の守護神は、今大会で最も個としてのアピールに成功した選手だろう。前に強く、上にも強い。豊かな将来性を感じさせるプレーぶりだった」

▽DF
河原創(大津高、2年)
「右サイドバックで攻守に奮闘した河原の貢献度は無視できないものだった。決して派手なオーバーラップをするわけでも、突き抜けた身体能力があるわけでもないが、そつがない」

星キョーワァン(矢板中央高、2年)
「逆に突き抜けた身体能力で際立ったのがこの星だろう。0-4と惨敗した前橋育英との試合でも個としての戦いでは負けず劣らず。キャリアが浅いだけに、伸びしろにも期待したい」

野田裕喜(大津高、2年)
「『1年から試合に出させてもらってきた』(野田)ことの意味を理解するストッパーは、その経験値の高さをしっかりと発揮。タフに競り合い、しっかりボールをさばける好素材」

▽MF
鈴木徳真(前橋育英高、3年)
「セカンドボールを的確に察し、素早いポジション修正でスルリとフィフティボールをマイボールへと変える。正確な球さばきも際立ったが、何より精神面での強さを見せてくれた」

中村健人(東福岡高、2年)
「自らの特長を「スルーパスとキック」と語る攻撃的MFは、頑健な3年生に混じっても物怖じせずにファイト。憧れの先輩である卒業生の松田天馬に一歩近付くプレーを見せた」

上村大悟(立正大淞南高、2年)
「立正大淞南らしい“ガンガン系”のサイドアタッカー。ドリブル自慢で縦への仕掛けを繰り返し、ボールを奪う姿勢もみせた。粗削りだが、今後の成長に自然と期待したくなる好選手」

増山朝陽(東福岡高、3年)
「MVPコメント参照」

▽FW
平野皓巴(長崎海星高、3年)
「蹴り込まれるロングボールに鋭く反応し、走り出す。酷暑の中でそれを繰り返せるタフネスと、飛んできたボールを正確にコントロールする技術も具備。単に速いだけの選手ではない」

一美和成(大津高、2年)
「小学生のときから知っているけど、あんなに大きくなるとは思わなかった」(平岡監督)。体が小さい頃に培ったスキルは今も威力を発揮。驚くべきオールラウンダーが誕生した。

村上魁(野洲高、2年)
「漂うのは野性味あふれる野洲らしさ。タイプは違うものの、乾貴士を初めて観たときと同等のインパクトがあった。ムラっ気もたっぷりありそうだが、それもまた一つの魅力か?」

●ベストマッチ
準決勝:大津高 1-0 前橋育英高
「ミスが少なく、サボっている選手もいない緊迫感のある好ゲーム。拮抗したチーム同士の拮抗した試合は「観に来てよかった」と素直に思えるものだった。悔いを残したであろう上州の虎たちの、冬のリベンジにも期待している」

[写真]川端氏が東福岡優勝の原動力と評する増山

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』前編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動。『J論』( http://j-ron.jp/ )編集長を務めているほか、ライターとして各種媒体に寄稿。近著『Jの新人』(東邦出版)。

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【特設ページ】高校総体2014

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