beacon

[MOM303]流通経済大DF田上大地(3年)_攻守に躍動した再コンバートのCB

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.11 総理大臣杯全日本大学トーナメント2回戦 流通経済大 1-0 福岡大 ヤンマーフィー]

「85点から90点をつけても良い試合だった」。1-0の辛勝ながらも、流通経済大・中野雄二監督が高評価を与えた要因のひとつとなったのが「CBを中心に1-0で耐えられたのが大きかった。怖がらずにラインを高い位置にしてくれたのが良かった」と福岡大をゼロで抑えた守備の奮闘が大きかった。その中でも、決勝点をあげたCB田上大地(3年=流通経済大柏高)の活躍は秀逸だった。

「昨年の総理大臣杯の準決勝でウチは勝っていて、相手は負けている。相手は相当なモチベーションで挑んでくると思っていたので、それを上回るモチベーションで行こうと思っていたので、入りから相手を上回ることを意識していた」との言葉通り、序盤から福岡大のパワーを活かした攻めに対し「ウチらもバチバチのスタイルなので、そこで負けていたら勝たないといけない」と試合の開始から身体を張って対抗。相手のキーマンだった福岡大FW山崎凌吾を相方であるDF今津佑太と上手くマークを受け渡しながら対応し、チャンスを与えなかった。貢献は攻撃だけに留まらず、32分にはシュートのこぼれ球をしっかり押し込んで、決勝点を獲得。攻守ともにヒーローとなった。

 攻撃での活躍はもちろんだが、特筆すべきは守備での貢献。「裏を獲られた場面もあったけど、相手をゼロに抑えられたので、DFとして最低限の仕事は出来た」と自らを評したように、最少スコアでの勝利に彼の存在は欠かせなかった。

 元々、高校時代はCBだったが、高校3年だった11年の全国高校総体直前にFWにコンバートされ、得点王に輝いた。これを機にFWとしてプレーを続けたが、「高校の時はFWの方がしっくり行っていたけど、大学に入ってからは強いDFが多く、ボールを獲られる事も多かった。自分は上手い選手ではないし、気持ちで戦う部分がDFなら活かせるんじゃないかと思った」とこれまでの2年間で自らの適性を悩みならプレーを続けた。転機となったのが、今年5月に行われた関東大学サッカーリーグの8節、早稲田大戦。チームのDF不足もあり、流通経済大柏戦でチームメイトだったFW宮本拓弥のマークを命じられた。ユニバ代表で得点を量産する関学大のFW呉屋大翔を含め、ライバル視する選手たちを「なんで得点が獲れるんだろと思っていた。FWとしての伸びシロが違うと思っていた」というライバルに1失点を喫したものの、確かな手応えを感じた彼はCBへの再コンバートを素直に受け入れた。

「真面目すぎるので、FWだと考えすぎてしまう。でも、真面目さはDFならコーチングで活きる部分が多いし、彼がDFに入ってからウチは負け無しなんです」と中野監督が話すように、再コンバートで彼の持ち味が最大限発揮されている。まだまだ大学レベルのDFとしては甘さもあるが、身体能力の高さを含め、DFとしてのポテンシャルを感じさせるには十分な試合となった。連覇に彼の存在が重要になるのは間違いないはずだ。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
【特設ページ】第38回総理大臣杯

TOP