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「値していなかった」鳥栖GK林がW杯落選を経て代表への想いを語る

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[8.23 J1第21節 大宮1-3鳥栖 NACK]

 リカルド・ロペス・フェリペ日本代表GKコーチが視察に訪れた大宮アルディージャサガン鳥栖。アルベルト・ザッケローニ前日本代表監督時代は代表候補に名を連ねていた鳥栖のGK林彰洋は、その事実を試合前から「知っていた」という。「高ぶってしまった部分もあったんですけど、勝利できてよかった」。まずはチームの3試合ぶりのリーグ白星に胸を撫で下ろした。

 見せ場はあった。前半17分のDF坂井達弥がFWムルジャを倒して与えてしまったPKの場面だ。1点を幸先よく奪いながら迎えたピンチに、「達弥が頑張っていた中で、チームとしても踏ん張りどころ」と奮起した林はMFズラタンのPKを見事にストップしてみせた。「予測では右」。ズラタンが蹴ったコースとは逆のコースを林は最初読んでいたが、試合前にチームメイトとかわした「どれだけ人を信頼できるか」という会話が頭をよぎった。「自分自身を信頼できるか自問自答した」結果、予測とは逆の左に飛ぶと、読みは的中した。

 大宮の追撃を許さないビッグセーブをしてもなお、「キックでいいところを見せたかった」と攻撃面での反省を口にする。「うちはトヨくん(FW豊田陽平)をターゲットとしている。トヨくんの頭だけってなると相手も潰そうとするので、足元や手前も狙っていたけど、受けづらそうなボールになってしまった。(芝が)スリッピーで踏み込みづらかったのもあったし技術不足。練習するのみです」。林のチャレンジは確かに垣間見えた。ビルドアップのシーンでボールを持った林は、低い弾道のボールを豊田へと送る。これはわずかに届かなかったが、通れば一気に決定機になるようなパスを狙っていたということになる。

 第21節終了時点で鳥栖の失点は「17」。これはブラジルW杯日本代表メンバーのGK西川周作擁する浦和を抑え、リーグ最小失点だ。「W杯で落選して、自分はメンバーにまったく値していなかったと自負している。一からやり直さないとという気持ちになったし、常に(日本代表を)意識してプレーするようになった」。堅守・鳥栖の守護神は、9月に新たなスタートを切る日本代表への想いを力強く語った。

(取材・文 奥山典幸)

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