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[MOM1115]柏U-18DF加藤颯人(3年)_指揮官も認めるアップダウンで劇的な公式戦初ゴール

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.24 高円宮杯プレミアリーグEAST第10節 柏U-18 2-1 鹿島ユース 柏]

 この試合まで公式戦ノーゴール、それも後半36分から投入された右SBが自分の武器を発揮してヒーローになった。柏レイソルU-18のDF加藤颯人(3年)は1-0の後半36分から右SBとして出場。「入った時は1-0だったのでまず守備。オーバーラップは行ける時だけと言われていたんですけど、同点になったので自分の判断で『ここは行かないといけない』と思った」という加藤は、追いつかれて迎えた後半アディショナルタイム、味方がカウンターから攻撃するとディフェンスラインから一気に前線へと駆け上がる。最初は右サイドでのサポートを考えたが、FW白川恵士朗が右サイドからカットインしていく姿を見て自身もゴール前へ入ってくることを決断。白川のシュートのこぼれ球にFW浮田健誠が必死に詰めると、最後は自陣からPAまで走り切った加藤がニアサイドへ左足シュートを叩き込んだ。

 公式戦でのゴールを記録したことはなかったが、下平隆宏監督が「練習試合からずっと点取っていたんですよ。紅白戦やっても点取るし、Bの方で紅白戦出ていてAから点取ったり、いいところでゴールして。ぎこちなく、かっさらっていくんですよ」と語るように連発していたゴール。得点への嗅覚が増したか、迷いなくゴール前へ飛び込んでいった判断も決勝点を生んだが、彼を主役にしたのはそのスプリント力、アップダウンだった。指揮官も「アイツは(守備よりも)むしろアップダウンを期待しているんです。足が超速くて、アップダウンできる。マジメで、何回でもアタックを取っていけるストロングを持っている。(きょうのように)途中から出たからあれをやれるんじゃなくて、いつも行けるんですよ。90分何本でも行ける。凄いんですよ。それがきょうは彼にも報われたのかな」と賞賛する武器。加藤は「自分は極端に言えば、そこ(アップダウン)だけだと思っている。そこを活かさなければ自分じゃないと思っているので、きょうは途中出場でしたけれど出せるように。得点だけを狙っていた訳ではないですけど、アシストはしたいと思っていました」と微笑んだ。

 体力に自信があったという加藤は中学時代からSB。そこでオーバーラップを意識するようになった。最近の練習試合などで連発していたゴールについては「全部たまたまだった。運が良かった」というが、「(オーバーラップで)ゴール前までは行けていた。クロスだったり、シュートのところが課題だと思っていたけれど、そこまで行ける感触はあった」。その手ごたえが大事なシーンで自身をゴール前まで走り切らせ、チームを救う決勝点をもたらした。

 繰り返し「ラッキーだっただけ」と語ったように、このゴールで満足することはない。地道に自分のやるべきことをやり遂げてチームに貢献し、課題を克服することを目指していく。「一戦一戦大事にしないと(プレミアリーグの)チャンピオンシップにはいけない。(自分は)レイソルに貢献できることがまだあると思う。(柏のアカデミーに在籍してできることは残り)短い時間ですが、全力でやっていきたい」。得点シーンだけでなく、試合後もチームメートが次々と加藤の下へ駆け寄って祝福していたのは、彼が地道に続けてきた努力の証だろう。3年生DFはこれからもチームの目標達成のために走り続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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