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次世代のエース候補生、新潟FW鈴木武蔵がFIFAワールドカップで感じる世界との差

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 アルビレックス新潟で着実に成長を遂げているFW鈴木武蔵。2年後のリオデジャネイロ五輪では、エースとしての活躍が期待される20歳は、世界最高峰の舞台であったFIFAワールドカップから大きな刺激を受けていた。感じた世界との差とは。ゲキサカが直撃インタビュー――。

―FIFAワールドカップは見ましたか?
「結構見ましたよ。印象ですか?日本がやって負けた相手で、ハメス・ロドリゲスはすごかったですよね。(大会前は)あまり聞いてなかったじゃないですか。それが得点王だし。一番印象に残りましたね。日本との試合でも、後半入った時にすごくリズムが変わったし、左足のキックの精度も高いし、ドリブルも出来る。何でも出来ちゃいますよね」

―J・ロドリゲスが決勝T1回戦のウルグアイ戦(1点目)で決めたボレーシュートは大会ベストゴールにも選ばれました。
「胸トラップからのシュートですかね。アレなんかはゴールを意識してなかったらないゴール。普通、胸トラしたら、落とすことを考えますもんね。それを胸トラしてそのまま打つというのはすごいなと思いました。あの位置だとGKの位置も確認できないでしょうし。天才ですね」

―その他で印象に残ったゴールはありましたか?
「ファン・ペルシーのダイビングヘッド(スペイン戦1点目)とか もすごかったですよね」

―川又選手はファン・ペルシーのダイビングヘッドは自分だったらトラップしていたかもというお話をしていました。
「俺もしてたかもしれないですね。ボールの状況が当事者じゃないので分からないですけど、僕でも胸トラップしていたかなと思います。GKにとっても予想外だったはずです。でもファン・ペルシーの裏の抜け出し方は勉強になる。あれだけフリーになるってことは、隙を逃していないということ。ダイビングヘッドの場面もそこまでの動き出しも上手かったですし」

―世界との差を感じましたか?
「とても感じました。もっとシュートへの発想を練習からやって、ゴールを意識しないといけないのかなと思いました」

―具体的にどんな部分ですか?
「フィニッシュの精度が大事になってくると思いました。前の動きだしとか、厳しい状況でもしっかり決めきるだとか。練習するしかないですけど、FIFAワールドカップを見ていても、決める選手は決めるところでしっかり決める。そういったチームがどんどん勝ち残っているなと感じました。(ルイス・)スアレス選手を見てると、ゴールへの意識がすごく高くて、ボール貰ってからのターンしてシュートは参考になる。シュートへの意識を持っていないと、バリエーションも出ないと思う。ボールを持ったらまずゴールを意識する。そして味方を使って崩すことが大事になってくるのかなと思いました」

―鈴木選手としては、今大会は2年後の同地で行われるリオデジャネイロ五輪も重なったはず。
「世界の戦いは球際も激しいですし、後ろからもガンガン来る。ファウルの基準もあまりカードにならないというか、日本だったらすぐにカードになってしまうプレーでも、フィジカルコンタクトを大事にしていると感じた。そういうところで世界基準を感じたので、もっともっと厳しくやっていかないといけないなと感じました」

「でも自分の場合、2年後というか、まずはチームで厳しいポジション争いを勝ち抜かないといかないといけない。2年後にはレギュラーを取ってないと厳しいのかなと思っています。ポジション争いは厳しいですが、この厳しい中でポジションを勝ち取れれば、必ず成長できると思います。そういう意味では指宿(洋史)選手の加入はかなり刺激になっています。正直、うわー、FWかって思っちゃいましたけど(笑)。またさらに厳しくなりますが、楽しみも増えました。その中で自分がどれだけ成長できるかですね。コミュニケーションですか? まだ自分は人見知りなんで(笑)。これから仲良くしていきたいですね」

―今年1月に始動した手倉森ジャパンですが、手倉森誠監督のサッカーはどのように感じてますか?
「みんなで守って、みんなで攻める。しっかり守って、カウンターに繋げる、ダメだったらしっかりポゼッションするサッカーです。同年代の選手はパスが出せる選手がすごくいるので、手倉森さんのサッカーにより生きるのかなと思います。自分としてはずっと足もとで受けていても怖さは出ないと思うので、足もとで受けることは他の選手任せてもいいくらいに思って、ドンドンDFの背後に抜け出したい。自分が裏を狙ってラインを下げて、そこからまた崩して、最終的に俺が背後を取って、点を取るという形がベストかなと、今は思っています」

―実戦という意味では、今季からJ3に参戦しているJリーグU-22選抜という制度があります。6月には鈴木選手も参加されました。
「すごくいい制度だと思いますし、何よりまず試合に出られていない選手にとって試合に出られるというのは大事なこと。急造チームですけど、その中で自分の特長を出せるかというのが、U-22選抜の醍醐味でもある。自分としてはやりがいも感じられますし、いいかなと思います。僕が6月に入った時は代表合宿の延長だったので、知っている選手も多かった。自分の時は難しさは感じなかったですよ」

―プロ3年目を迎えた今季、チームでも得点が取れるようになってきました。ご自身でも変化を感じますか?
「監督からはずっと動きだしの部分を言われている。そこらへんが上手くチームと合ってきたのかなと思います。パスの出し手とのコミュニケーションも取れるようになってきた。そこで自分に変化というか、コンビネーション、意思疎通ができてきたんだと思います。味方が僕のことを見てくれないとそこまで生きる選手ではないと思っているんで。そこは積極的に話して、味方に伝えているつもりです」

「あとプロに入ってから筋トレや体幹を鍛えるトレーニングをするようになりました。その成果も出てきているのかな。怪我をしにくくなりました。今年は1回も怪我で休んでいませんし。1年目は半年に1回はどこかしら怪我をしていたんで。そういうのが本当に少なくなった。体は強くなっていると思います」

―究極のスピードと加速力を追求したスパイク『アディゼロF50』も鈴木選手の成長をサポートします。愛用するスパイクは今夏、新色が登場しました。
「派手な色はとても好きなんです。これ履いてたら絶対目がいくじゃないですか。軽さとフィット感はもともとすごく気に入っています。『アディゼロF50』は高2くらいから履き続けています。もう4年目ですか。スパイクは僕にとって『パートナー』『相棒』なんです。恋人? いや、相棒ですね(笑)」

―折り返し地点を過ぎた今季のJリーグですが、大事な試合が続きます。
「自分の特長を出しながら、チームのことをしっかりやりたいです。前半戦は引き分けが多かったのですが、僕たちFW陣が点を取ってれば勝てる試合もあったので。引き分けの試合を勝ちに持っていければ、1つでも上の順位に行けると思う。DFはすごく失点少なく守ってくれているので、自分たちが点を取れば、もっと上位に行ける感覚はある。3位以内に入りたいですね」

―個人目標はありますか?
「個人としては今年始めにナビスコカップとか全部含めて10ゴールという目標を立てて、今季に入りました」

―天皇杯2回戦のハットトリックで稼いじゃいましたね。
「そうですね(笑)。でもそれはなしで。ヤマザキナビスコカップで3点決めているので、あと5点ですか。リーグだけで取りたいですね」

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(取材・文 児玉幸洋)

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