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[関東1部]小口劇的V弾!4連覇の偉業達成へ、首位・専修大が後期白星発進!!

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[9.6 関東大学リーグ1部第12節 専修大 1-0 筑波大 味フィ西]

 JR東日本カップ2014第88回関東大学サッカーリーグ戦1部第12節が6日に行われ、4連覇を狙う首位・専修大は最下位の筑波大と対戦。後半45分に左SB小口大貴(2年=川崎F U-18)が決めた決勝点によって1-0で勝った。

 前期の成績は8勝2分1敗。今や“定位置”となってきている首位で折り返した専大が、後期初戦でも白星を積み重ねた。それも大学ナンバー1アタッカー、FW仲川輝人(4年=川崎F U-18)と全日本大学選抜の正守護神、GK福島春樹(3年=静岡学園高)を欠く中で勝ち取った白星。この日不在だった源平貴久監督に代わって指揮を執った専大の岩渕弘幹コーチは「きょうは特別な一戦で、残りのリーグ戦の11分の1と据えるよりも開幕戦という大事なゲームだということで、独特の雰囲気の中でやっていかなければいけない。これまで練習試合だけで対応していたのが、いきなり公式戦になった時の緊張感だとか違うと思うんですよ。選手には初戦は多少上手くいかないことがあっても、勝負に、勝ち点3に泥臭く挑むしかないんだよと話していたけれど、アクシデントもある中で選手が良くやってくれた」と讃えていた。

 全日本大学選抜の韓国遠征で右足首を負傷した福島は怪我の状態が悪く、まだ満足に動けない状況。仲川についてはチームの規律上の理由に加えて、岩渕コーチの過去の経験による「(自分のミスを試合で取り返そうとし過ぎて)往々にいいプレーができなかったり、怪我しているケースが多い」という分析、そして仲川自身が内転筋に負傷を抱えていることもあって、今回はあえてベンチから外す決断をしたという。毎試合1、2本はビッグセーブを見せてチームを救ってきた福島、そしてトラップひとつで会場を沸かせ、高速ドリブルと抜群の得点感覚でゴールをもたらす攻撃の柱・仲川の欠場はチームにとって間違いなく痛かった。岩渕コーチも「こういうゲーム(苦戦)も覚悟していた」という一戦。だが、専大は全員でこの危機を乗り越える。

 筑波大が引き気味に試合に臨んできたため、専大は自分たちが予想していたよりもボールを握り、押し込む展開となった。ただ、全日本大学選抜MF北出雄星(3年=三菱養和SCユース)やMF星野有亮(4年=静岡学園高)中心にボールを動かしながらも、川崎フロンターレ内定の筑波大MF車屋紳太郎(4年=大津高)にカウンターからシュートを放たれるなど、相手の速攻に苦しみ、またミスが出て決定打を打ち込むことができない。福島に代わって先発した1年生GK蔦颯(前橋育英高)の好守もあって無失点で切り抜けたものの、前半は専大にしては少ないシュート3本で無得点に終わった。

 後半は車屋がフリーランを繰り返していたほか、MF中野嘉大(4年=佐賀東高)がバイタルエリアで仕掛ける回数を増やすなど、筑波大が立て続けにシュートシーンをつくり出していく。2分、CB早川史哉(3年=新潟ユース)がインターセプトから一気に攻め上がり、FW中野誠也(1年=磐田U-18)が左足シュート。3分には中野嘉のスルーパスから中野誠が右足を振り抜く。そして6分には絶妙なドリブルコースをとってDFの背後へ抜け出した中野嘉が右足シュートを放ったが、これは蔦がビッグセーブ。得点を奪えない筑波大は16分に車屋の柔らかい左クロスをファーサイドの早川が完ぺきに頭で合わせる。だが、至近距離から放ったヘッドは蔦が抜群の反応によってゴールラインぎりぎりでセーブ。1年生GKはこぼれ球も素早く収めて、スコアを動かさない。

 専大も18分に得点ランキング首位のFW前澤甲気(4年=清水商高)が抜け出して決定機を迎えたが、こちらも奮闘光った筑波大GK岩脇力哉(3年=磐田U-18)がストップ。最下位脱出を目指す筑波大も意地を見せた。専大は19分にDF河津良一主将(4年=作陽高)を投入し、4バックから3バックへ移行。J数クラブが争奪戦を展開している右SB北爪健吾(4年=前橋育英高)が「守備を安定させながら自分たちも前に行こうと。守るというよりもとにかく攻めるというチームのスタンスがある。3(バック)で守備が安定する中で、サイドからの攻撃の厚みを持たせるためにチャレンジしました」という3バック変更によって専大は、圧倒的な走力を持つ北爪、小口の両ワイドがより攻撃に力を注いでいく。

 37、38分には立て続けに北爪が右サイドを深く切れ込んでクロス。これは得点に結びつかなかったものの、大きな展開から両翼が縦へ切れ込んで筑波大にプレッシャーをかけていく。そして45分、貪欲にゴールを狙い続けた専大に劇的な決勝点が生まれる。右サイドの星野が中央へ速いパスを入れると、交代出場のMF私市一樹(2年=東海大菅生高)が左前方へラストパス。これに走りこんだ小口が左足で決勝点をねじ込んだ。
 
「引かれた相手にチームとしてどう崩していかなければならないか」(岩渕コーチ)など課題はあった。それでも王者は我慢強く戦って得点を許さず、最後の最後で一刺し。勝ち点3をもぎ取った。北爪は「勝っていく中でチームをどんどん強化していくというか、チーム全体で成長していくというのが(専大の)スタンスなので、勝ち点3を取れたことで満足はしていない。できればもっともっと点取って、勝ちたい。(今後)チームとして成熟していけるように。4年生がチームにどんどん還元していきながら勝てるチーム、強いチームにしていきたい」と語り、4連覇という偉業への挑戦を口にした。

「チームの注目にもつながりますし、環境づくりになると思う。新しい歴史をつくっていきたい。入学した時は(1部で一度も優勝したことがなく)想像もしていなかったですけど、選手がしっかりやってここまで積み上げたものだと思っている。(4連覇は)チームとして機能できれば、難しいことですけど『不可能ではない』とチーム全員が思っている。一試合一試合、あと10試合全力で頑張りたい」。アクシデントを乗り越え、勝利という結果を手にした専大。1955年から58年に早稲田大が達成して以来となる4連覇という大目標へ向けて、一戦一戦チームを強化していき、11月により強くなって歓喜の瞬間を迎える。
 
(取材・文 吉田太郎)

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