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[特別インタビュー]神戸MF森岡「10番が似合う選手になる」

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 10年にヴィッセル神戸に加入した当時、背番号20を背負っていたMF森岡亮太は12年に14番に変更し、昨季からはエースナンバーの10番を背負っている。今季は全試合先発出場を続けるようにチームに欠かせない存在へと成長した。

 さらにはハビエル・アギーレ監督が指揮を執る日本代表に初選出を果たし、9月5日ウルグアイ戦では親善試合とはいえ代表の10番を背負って後半44分からピッチに立った。代表デビュー戦で与えられた時間はアディショナルタイムを含めてわずかな時間だったかもしれないが、23歳を迎えた男は確かな足跡を残した。

 しかし、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。大ブレイクの予感が漂うプレーメーカーが、若かりし日の葛藤から背番号10への思いまでを語り尽くす。

――今季は第22節まで全試合先発出場を続けているように、完全にレギュラーに定着しました。
「試合に出続けられていることで、気持ちの持ち方の部分での変化を感じています。レギュラーになりたての頃は先発出場できることに対して楽しさがありましたが、それが段々と個人のことだけでなくチーム状況とか試合内容とかを考えるようになり、特に中断明け以降に結果が出なくなり始めると、それまで頭が回らなかったようなことまで考えるようになりました。昔は自分がピッチに立って結果につながればいいと思っている部分もありましたが、今は立場的にもチーム全体のことをもっと考えないといけません。ようやく、そう感じられるようになったと思いますが、プロサッカー選手として必ず通る段階だと感じているので、一つひとつ段階をクリアしていこうと考えると、今はサッカー選手としてすごく充実していると思います」

――加入1、2年目は思ったように出場機会をつかめずに苦しみました。
「現実のプロの世界と自分が描いていたプロの世界と言いますか、現実と理想のギャップをすごく感じていました。プロになる前に僕が描いていたサッカーはボールポゼッションして、どちらかと言えば相手を走らせて勝つサッカーでした。ただ、神戸はチームのスタイル的にも運動量が必要とされるチームで、どちらかと言えばスピードに乗った攻撃を武器にしています。その中で、チームから求められていることをこなしつつ、自分の持ち味を出すにはどうすればいいのか。どうしても激しくなる試合が多くなる中、どれだけ楽しくプレーできるかというのを考えていました。当初は悩みましたが今は、個人的にできることも増えてきていますし、それが楽しさにつながっています」

――難しい時期でも、自分の中では絶対に試合に出場できるという気持ちは持てましたか。
「確かに試合に出られない時期が多かったですけど、『このままダメになるのかな』という感じはありませんでした。試合に出たときに自分の武器は通用すると感じていたので、その部分には自信を持っていました。自分の武器ですか? 前に仕掛けられる部分ですね。それが広いスペース、狭いスペースに関係なく、ゴールに向かって行く、チャンスにつながるプレーができるのが武器だと思います。チームからもゴールに直結するようなプレーが求められていますからね」

――プロ5年目を迎え、サッカーに対する取り組みや意識で変わった部分もあると思います。
「1年目、2年目は全体練習後にフィジカルコーチやトレーナーが考えてくれたトレーニングメニューをこなし、個別の筋トレを教えてもらい、その中で体を大きくしよう、力強さを身に付けようとしていました。その頃の僕はフィジカル勝負で簡単に当たり負けしていましたし、走りながらプレーするのもうまくなかったので。それが、いろいろなスタッフや選手の話を聞いていく中で、いろいろなトレーニングの方法を覚え、その中で自分に合うやり方を見つけられるようになったと思います。今は『こういうトレーニングが必要だろう』と自分で考えながら、取り組めている感じです」

――昨季、J2を経験したことで成長できた部分を教えてください。
「リーグ戦が毎週続く流れの中で、自分でリズムを作りながら試合に臨む形ができたのが良かったですね。ベンチ入りしても試合に出られないこともありますし、途中出場しても翌日には練習試合が行われることもあるので、一週間の流れが読みにくく、コンディション調整で難しい部分がありましたが、昨季のシーズン終盤に先発出場が増えてからは自分の中で生活のリズムがしっかりできたと思います。それはJ2を経験できたからというより、試合に出られるようになったことで成長できた部分かも知れません。ただピッチ内では、相手DFにボールを奪われないポジションやタイミングをつかめるようになり、自分の思ったところでボールを受けられることが増えました。これはJ2で良い経験を積めたからだと感じています」

――今季は相手マークが厳しくなる中で、マークを外す工夫も身に付いてきたと思います。
「マークをはがす動きは意識していますが、それもチームメイト次第だと感じています。僕ができるだけ相手の視野から外れようとポジションを取ろうとしても、そこを味方が見てくれないと意味がありません。僕は相手の動きを見てパスを受けようとすることが多いので、どうしても味方とのタイミングが合わないことが多くなってしまいます。だから、そこを修正して味方にもっと見てもらえるようになると、僕のタイミングで相手選手さえ外せればパスが出てくると思うし、自分のほしい位置でボールを受ける回数がもっと増えるはずです」

――練習中からそういった部分でのコミュニケーションをチームメイトとはとれていますか。
「プロになってからずっとコミュニケーションをとってきて、昔に比べると連係は確実に高まっています。話し合えばパスが出てきますし、出し手の選手も相手の裏を取れるので、そのワンプレーだけかも知れませんが、お互いに気持ち良くプレーできるんです。そうしたチームメイトと意思疎通が図れたプレーがもっと増えれば、さらにサッカーが楽しくなると思います」

――神戸では中盤から前の選手には外国籍選手が多く、コミュニケーションをとる難しさもあると思います。
「難しいと言えば難しい部分もありますが、ウチの外国籍選手は日本で実績のある選手が多いので日本人の特長も把握していますし、経験も豊富なのでアイコンタクトやジェスチャーで理解し合える部分もあります。細かい部分は通訳を通して話し合えていますし、要所要所のプレーは問題なくできていると思います」

――現在のトップ下は自分に一番合っているポジションだと感じますか。
「フォーメーションだけでなく、チームのスタイルも関係すると思いますが、神戸はどちらかというとショートカウンターや縦に速い攻撃を得意としています。前線の選手に良いパスを配球するのがトップ下の役割の一つになるので、そう考えると今のポジションは合っていると思います」

――森岡選手のプレーからはファンタジスタという言葉が連想されます。ご自身が考えるファンタジスタ像を教えてください。
「僕が考えるファンタジスタ像と言うのは、結構周りの人のファンタジスタ像とは違うのかなと感じることがあります。周りから見たら『そこに出せるんや!?』『そこ見えてるんや!?』と言われるようなプレーでも、自分の中では普通にやっていることがありますし、逆に周りから何も言われないようなプレーでも『あそこに出せた俺ってスゲーな』と思うシーンもあるんですよね。例えばスルーパスをライナー性で出せたり、ボールの回転まで考えてパスを送れたときは自分の中で良いプレーができたと感じるし、一見、何でもないようなプレーでも実はそこまで考えてプレーできるというのがファンタジスタなのかなと思います」

――プレーへのこだわりを感じますが、自分のプレーに満足することはありますか。
「個人的には見ている人が楽しんでくれるようなプレーをしたいのですが、まだまだ思っているようなレベルにはいませんし、局面局面で納得するプレーができることもありますが、1試合を通して満足できることはありません。全部のパスが思い通りに出せて、打ったシュートが全部入り、1度もボールを奪われずに、狙ったようにボールを奪えればもしかしたら満足することもあるかもしれませんが、そんなことはできません。それに、満足したら成長は止まってしまいますからね」

――昨季から背番号10をつけていますが、自らの意志で着けたのですか。
「7番、8番、10番と3つの候補があって、クラブから『どれか着けてみるか』と言われました。その話を頂いたとき、それまで着けていた14番か10番を着けたいと思いましたが、せっかくだから10番を着けてみたいという気持ちになり、『10番でお願いします』という話をしました。でも背番号を変えてから、試合に出られないときや活躍できないときにサポーターの方や知り合いからいろいろ言われるようになりましたね」

――いろいろと言いますと?
「背番号10はサッカーの世界では特別な番号じゃないですか。だから試合に出られない時期には練習を見に来ているサポーターの方から『10番、どこに行ったん?』とか『10番、まだ早いんちゃうん』と冗談交じりに言われたこともありましたし、知り合いからも『10番、何してんねん』と言われました。『10番って、いろいろ言われるんだな』って思いましたよ(笑)。10番を着ける前は、試合に出ていない時期にそういうふうに言われたことはなかったので、10番の重みと言いますか、ものすごい影響力を持っている番号なんだなと実感しました」

――ただ、今季は10番に見合うプレーを見せていると思いますが。
「試合には出させてもらっていますが、結果としては物足りません。僕はタイプ的にアシスト寄りの選手だとは思いますが、もっとゴールへの意識を高める必要があります。攻撃的な選手にとって一番分かりやすいのは数字なので、ゴールを決められる選手にならないといけません。もっと自分自身がゴールに向かう姿勢を示していきたいですね」

――『ゴールを奪える選手』以外に、どのような選手になっていきたいか描いているものはありますか。
「まずはチームで絶対的な存在になる。『森岡に預ければ何とかしてくれる』『必ず結果につなげてくれる』という信頼を得たいです。それと、10番が似合う選手になりたいですね。チームから10番を着けさせてもらえたので、この番号を背負っていかないといけないと感じていますし、誰が見ても『10番は森岡』と思われるような結果を残していきたいです」

――最後にスパイクへのこだわりを教えてください。
「スパイクを履いたときの快適さとフィット感を大事にしています。軽さも重要ですが、僕は重すぎず、軽すぎずくらいがしっくりきますね。新しいナイトロチャージには明るいグリーンが使われていますが、実は僕、財布やカバンもグリーンに変えるくらい、今ハマっている色なんですよ。だから、純粋にこの色のスパイクはうれしいですね。見た目だけでなく、ボールを蹴るときや走るとき、それとトラップのときの感触が良かったので、このスパイクを履いて自分らしく、観客が沸いてくれるようなプレーを見せていきたいです」

(取材・文 折戸岳彦)

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