beacon

[MOM1125]矢板中央FW伊藤心(1年)_ふたつのビッグプレーで優勝、Rookie LeagueMVP!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.14 2014 Rookie LeagueAグループ第9節 市立船橋高 0-3 矢板中央高 時之栖裾野G]

 FW伊藤心(1年)が矢板中央高に初Vの栄光を手繰り寄せた。市立船橋高との最終節。翌日に試合を控えた同勝ち点の2位・前橋育英高にプレッシャーをかけたい矢板中央だったが、前半は0-0で折り返してしまう。だが後半15分、ゴール正面左寄りの位置でFKを獲得すると、キッカー・伊藤の右足から放たれた一撃がゴール右隅へ吸い込まれ、待望の先制点となった。

「あの距離は練習してきたところだった。緊張していたんですけど、仲間が支えてくれたので。GKの位置も、壁の位置もよく見えて、コースが見えていた。『枠に蹴って外したら、次決めればいいや』っていう気持ちで振り切りました」という一撃が貴重な、貴重な1点を生み出した。「中学のときは蹴っていなかった。でも高校になって蹴る機会が増えて、『大事なところでこれを決めれる選手にならないといけない』と思って練習しました」という伊藤のFK。この一撃が、是が非でも勝ち点3のほしいチームを優勝へ近づけた。

 伊藤はさらに2分後の17分、自陣でボールを受けると、鋭いターンを交えながらのドリブルで2人を抜き去ってそのままPAへ向けて前進。そして左前方を走るFW澤野祐輝へラストパスを通すと、澤野が左足シュートを決めて2-0となった。「(それまでの攻撃が)縦に速かったので、自分が落ち着かせようと思っていた。敵の来る位置は見えていたので、敵の逆を取って、また逆を取って、そして澤野が左に走っているのが見えたので丁寧にパスを出しました。自分の武器ですね、テクニックは。(DFが)2、3枚来てもそっちの方が抜きやすいかなと。ボールを持ったら前を見て、落ち着いて、『何枚でも来てください』という意識でやっています」。練習を重ねてきたFKと武器のテクニカルなドリブル。チームを勝利へ導くふたつのビッグプレーだった。

 3-0で快勝したチームは前橋育英を得失点差で振り切って初優勝。「自分、まだこのルーキーリーグで2点しか取っていなかったので、自分がやんなくちゃいけないという気持ちが大きかった。どういうプレーをしようかなというよりは、勝つためのプレーが自然にできたのは良かったです」と最終節を振り返った伊藤は、Rookie LeagueグループA(上位リーグ)のMVPに選出された。「2年後、強くなったり、落ちたりするチームがあるので、自分らはこの結果に満足することなく、みんなで練習してインターハイ、選手権に出てまたてっぺん取りたいと思います」と宣言。そして「(自分自身は)ドリブラーとか、パサーとか、DFとかにはこだわらず、ドリブルもできれば、パスもできるという選手を目指していく。今、パスサッカーというのが日本でも海外でも多いので、個で崩せる選手になっていきたいと思います。この貴重な経験を活かしてもっと上を目指して、もっと努力をして、さらに上を目指して日の丸を背負っていけたらいい」。“大一番で決められる”ところも示した将来のエース候補は、また先を見据えてトレーニングに励む。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
2014 Rookie League特集ページ

TOP