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[選手権予選]ライバルたちが警戒する「トーナメント戦の修徳」、3連覇へ前進:東京A

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[10.4 全国高校選手権東京都Aブロック予選2回戦 修徳高 4-0 錦城高 駒沢第2]

 第93回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選2回戦が4日に行われ、昨年度全国8強の修徳高は、錦城高に4-0で快勝。3年連続の全国大会出場へ前進した。修徳は12日の準々決勝で関東一高と戦う。

 一昨年度は夏の総体予選、冬の選手権予選と東京2冠。昨年度も関東大会予選、総体予選で4強入りし、選手権予選決勝では後半ラストプレーで追いつき、延長戦の末に成立学園を下して連覇を達成した。近年、都内のトーナメント戦でその勝負強さを発揮してきた修徳が3連覇へ着実に駒を進めている。

 今年は関東大会予選準々決勝で東久留米総合の前に屈し、総体予選は2次予選1回戦で延長戦の末に関東一に敗れるなど、過去2年ほどのインパクトを与えることはできていない。今大会初戦も大泉にPK戦で薄氷を踏む勝利。それでもライバルたちは「トーナメント戦の修徳」を警戒する。岩本慎二郎監督も「(相手は)やるのは嫌でしょうね。やるのは嫌だから、それがある意味(自分たちの)アドバンテージじゃないですか。ウチは何か特別なことをしている訳じゃないので」。選手たちに辛抱強く、我慢する事の大切さを説いて、我慢する事を選手たちが実践。それが一昨年、昨年の勝利に繋がってきた。ただ今年に関しては「今年は我慢しないですから」「これくらいですよ」と指揮官は苦笑いする。それでも一発勝負で強さを発揮する修徳に対し、対戦相手が嫌なイメージを持っていることは間違いないだろう。

 この日対戦した錦城はMF蓮池壮主将とMF三原佑太(ともに3年)をはじめ、技巧派揃うチームだった。だが着実に加点して相手の沈黙させた修徳の快勝だった。修徳は前半11分、左MF和田裕太(2年)のスルーパスで抜け出したエースMF小野寺湧紀(3年)が決定的な右足シュート。これはGK十時健伍(3年)のファインセーブに阻止されたものの、20分にもMF石原海(2年)のドリブルを起点に右クロスへ持ち込み、これにFW雪江悠人(3年)が身体ごと飛び込むなどサイド攻撃からチャンスをつくる。

 錦城も22分、三原が左中間から放り込んだアーリークロスでスタンドが沸く。FW種村峻平(2年)のダイレクトボレーはヒットしなかったものの、チャンスをつくり返した。ただ27分、修徳が錦城ゴールをこじ開ける。左CKを獲得した修徳はキッカーの小野寺がショートコーナーから石原海とワンツー。リターンを受けた小野寺が右後方の和田へつなぐと、和田は左足でクロスを入れる。これをCB足達広大(3年)が豪快なヘディングシュートでゴールへ叩き込んだ。「相手に合わせて、全然自分たちの速い攻撃ができていなかった。セットプレーで1本とらないといけないと、そういう気持ちで入っていきました」という183.5cmのCBが放った殊勲の一撃。これで修徳がリードを奪った。

 この一撃が響いたか、その後錦城は修徳の速い攻撃に対応することができず、相手に何度もシュートチャンスをつくられてしまう。修徳はMF許享文(3年)や小野寺がミドルシュートを打ち込み、CKからCB河野哲志(3年)がヘディングシュートを放つ。修徳は岩本監督も「あの高さ。去年よりもそこだけかな、あるのは」と認める河野と安達の2CBの高さが強烈。会場を沸かせるほどインパクトの強いヘディングを繰り返した2人はPAへボールが入ってくることを許さない。

 逆に修徳は後半立ち上がり、立て続けにビッグチャンス。2分に右CKから安達がヘディングシュート。ゴール至近距離からの一撃はGK十時が驚異的なセーブでかき出したが、修徳は4分にも右CKから河野が落としたボールを許が決定的な右足シュートを放つ。そして6分には左サイドをスピードで打開した雪江の左足シュートが右ポストを直撃。PAで何とか粘る錦城も今野裕斗(3年)と相澤宏樹(2年)の両CB中心に何とか1点差で食らいつくが、修徳は再びセットプレーで錦城を突き放した。

 後半7分、修徳は左CKから再びショートコーナーを敢行。石原海から小野寺へのリターンはやや自陣方向へ流れたものの、体勢を立て直した小野寺からのパスを受けた和田がクロスを入れると、ファーサイドから飛び込んだ雪江が右足ダイレクトボレーをゴールへ突き刺した。DFをかすめたボールはゴール左隅へズドン。ファインショットで2-0とした修徳はその後、クロスのミス、キックミスなどでチャンスの芽を自ら潰していた感があったが、それでも25分、怪我明けで指揮官も「アイツいればもっと前半から変わったんだろうけれど」という交代出場のMF小澤翔(2年)がスルーパスを通す。これで抜け出した小野寺が右足シュート。GKが弾いてこぼれたボールを雪江がゴールへ押し込んで3点差とした。

 小澤や1年生MF石川知稔らのチャンスメークなどから攻め立てる修徳は、27分にも雪江がゴールマウスを叩く一撃を放つなど決定的なシュート連発した。そして36分、右SB田原迫隼人(3年)が右サイド後方から上げたクロスボールを雪江が頭で決めてハットトリックを達成。4-0で快勝して8強入りを決めた。足達は「練習から雰囲気がまだ盛り上げが足りない。練習で試合以上のことができないと、やっぱり試合ではいい結果が出ないと思う。練習から自分たちで雰囲気上げていければ結果も上がってくると思う。クリティカルフェイズ(危機的な局面)、始まった10分間とか、セットプレーとかそういうところで自分たちは点を取られている。今練習していますけれど、そういうところで点を取られないこと。そして2点差ひっくり返せるくらいの強さがないといけない。負けている時も落ち着いてやらせないで、一本返せるように成長できたらいい」。先輩たちが我慢することの大切さを学び、辛抱強い戦いを経て勝ち上がっていくところを見てきた。雪江は「去年も最初の方は上手くいっていない時期もあったので、いつか自分たちもああいうふうになれると信じて毎日練習に取り組んできました」。まだまだ先輩たちに追いついていないことは理解している。だが、諦めることなく一試合一試合少しずつ成長して、「トーナメント戦での強さ」を発揮して、先輩たちのように全国舞台で輝く。

[写真]前半27分、修徳はDF安達が先制ヘッド

(取材・文 吉田太郎)

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