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[MOM312]慶應義塾大MF山浦新(4年)_勝ち点もたらした技術と献身性

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.8 関東大学リーグ1部第16節 慶應義塾大 1-1 国士舘大 慶應義塾大学下田G]
 
 互いに縦への攻撃が速く、スピード感ある展開となる中、彼にボールが入ると間ができた。加速すると見せかけて相手の逆をとり、逆に間髪入れずに出したパスでもチャンスメーク。後半25分に絶妙なループパスで先制ゴールのアシストもした。慶應義塾大のMF山浦新(4年=東京Vユース)は「(自分自身は)凄いスピードがある訳でもないですし、キックが飛ぶ訳でもないですし、だけどチームとして縦に速い攻撃、堅守速攻を意識している中で全員が全部蹴るというのではもたないので、自分や端山のところで落ち着かせる時間も必要だと思っていた」と攻撃をコントロールし、献身的な走りでもチームに貢献。勝ち点1をもたらす原動力となった。

 先制アシストのシーンは、右サイドから斜めにPAへ飛び込んできたMF加瀬澤力と見事な連係を見せた。「最初からあそこを狙っていた訳ではないんですけど。受けた時に逆サイドに展開することを考えていたんですけど、動きがなかったのでもう1回右を振り向いた時に加瀬澤がいいタイミングで走ってきていた。DFの足も止まっていたので、DFの裏へ落とせば何かしら起きるかなと思った。あのまま直接点につながるかどうかは分からなかったんですけど、あのスペースに落とすことで何かが起きればと思って蹴りました」と正確なタッチでループパスをスペースへ落とすと、これに走りこんだ加瀬澤が左足ループシュートで先制点を決めた。この好アシストに加え、中盤で国士舘大の勢いを止めるプレーの連続。攻守で存在感のある90分間だった。

 フォア・ザ・チームを強調する山浦は「個人としては残りの試合というのはきょうみたいに結果を残すこともチームへの貢献ですけど、まずは個人として結果を出すことよりもチームのために何ができるか考えたい。自分の良さというのも献身性だったりだと思うので、(いいプレーをしても)ちょっとでも気を緩めたらダメ。チームのために献身的にやりたいと思います」。東京Vユースに在籍した高校時代は周りが皆プロを目指す環境。大学4年間ではチームのために何ができるかということを学ばされた。

「(高校時代は)チームスポーツなんですけど、個人をどれだけ伸ばせるかという環境。個人スポーツという側面もあった中で、大学に入ってチームとしての一体感の大切さであったりとか、自分以外に試合に出ていない人が仕事をしてこの舞台をつくってくれているということでみんなあっての学生スポーツということを学ぶことができたし、仲間との強い結びつきができたと思います。自分の中ではいい経験になりました。サッカー的な成長よりも人間的な成長ができた」。そして自分がどうチームに貢献できるか考えた結果、SBもボランチも、SHもできるオールラウンドプレーヤーになった。

 今年はサッカーを貫いて、来年に就職活動を行うという山浦。「1年生の時からトップチームでプレーしていた3、4人のうちのひとりなので常に刺激はプロになる前からずっと受けていると思います。今は単純に凄いなって応援する立場ですね」という昨年までともにプレーした同級生、日本代表MF武藤嘉紀(F東京)の活躍も刺激に、大学サッカーの残りわずかな試合全てに全力を尽くす。

(取材・文 吉田太郎)

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