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[AFC U-19選手権]遠のく世界…4大会連続アジア予選敗退の重い現実

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[10.17 AFC U-19選手権準々決勝 U-19日本代表 1-1(PK4-5)U-19北朝鮮代表 ミャンマー]

 4大会連続で世界への切符を逃すことになったU-19日本代表。過去3大会と比べれば、延長戦からPK戦までもつれ込んだ今大会が最も突破に近づいた大会だったと言うことができる。北朝鮮のラフで強引なプレーに頭を悩まされはしたが、試合内容ではまさっていた。「だからこそ勝ちたかった」とFW南野拓実(C大阪)も漏らす。

 しかし、世界への意識は大会を重ねるごとに弱まっているように見える。そして、これが一番の問題なのではないかと思う。

 06年のインド大会。予選突破を決めた準々決勝の相手はサウジアラビアだった。先制したものの、後半35分に森島康仁がファウルを犯し、PKを与えてしまう。これが決まって1-1。試合終了間際に青木孝太のゴールで勝ち越し、無事に突破を決めたのだが、森島はPKを与えたとき、人目をはばからずピッチ内で泣き出してしまった。

「僕が日本の歴史を変えてしまうかもしれない」

 それまで過去5大会連続でU-20世界ユース選手権(現U-20W杯)への出場権を手にしてきていた。その流れを自分のワンプレーが断ち切ってしまうかもしれないという恐怖を、そのとき森島は感じたのだ。まだ逆転されたわけではなく、同点につながるPKを与えただけだったにもかかわらず。

 今大会でそこまでの意識を持てていた選手はどれだけいただろうか。実際に4大会連続で世界から遠ざかってしまうと、今さらこの1敗が日本の歴史を左右するという発想には至らないかもしれない。今回のメンバーは95年1月1日以降生まれの選手で構成されていた。最後にアジアを突破した06年大会は、彼らが11歳前後のころの出来事だ。これでは世界に行くことについて実感を得られなくても、選手たちを責めることはできない。

 鈴木政一監督に北朝鮮戦の2日前に尋ねてみた。4大会ぶりの世界切符へのプレッシャーは感じないのか、と。ひょうひょうとした語り口ではあるが、胸の内を明かしてくれた。

「選手の前では出さないですけどね……。私も初めてなので」

 Jリーグ優勝経験もあり、大学サッカーで若年層指導に手腕を発揮した名将であっても、この舞台は初めてなのだ。

 連続出場が途絶えたことの弊害はこのあたりにあるように思う。世界への意識が遠のき、経験のある者はどんどん少なくなる。今回、その権利を得たのは北朝鮮、ウズベキスタン、ミャンマー、カタールの4か国。日本がその座を取り返すのは、早いに越したことはない。

(取材・文 了戒美子)

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