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[国体少年男子]準決勝で5発!快勝の神奈川県が5年ぶりVに王手!

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[10.20 国体少年男子準決勝 神奈川県 5-1 新潟県 雲仙市国見総合運動公園多目的芝生広場]

 第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」サッカー競技少年男子は20日、準決勝を行い、5年ぶりの優勝を狙う神奈川県と初めて準決勝を戦う新潟県との一戦は、神奈川が5-1で快勝した。神奈川は21日の決勝で群馬県と戦う。

 初の準決勝進出を果たした新潟は、藤田敬三監督(新潟東高)が「強い県と当たってもネガティブにならずに戦えるようなサッカーを本国体でやりたいと思って考えてきました」と語っていたように、臆することなく、可能な限り繋いでアタッキングサードまで繋いでサイドから自分たちの崩しを展開しようとしていた。また守備面では左SB山田朋成(長岡向陵高2年)が出足良くインターセプトし、CB小川朋広(新潟西高1年)がPAで強さを発揮するなど奮闘。ただ、前日に行われた大阪府とのV候補対決を4-0で快勝していた神奈川はAFC U-16選手権日本代表のMF田中碧(川崎FU-18、1年)が「昨日大阪に4-0で勝って自分たちが思っていた以上の試合ができたので、きょうの試合は立ち上がりとかやられないように、自惚れがでないようにやっていたんですけど、立ち上がりで1点入ったので楽になったかなと思います」と語ったように、立ち上がりから強さを発揮し、シュート22本を浴びせて新潟を圧倒した。

 前半4分にFW渡辺力樹(横浜FMユース、1年)からの折り返しを田中が右足ダイレクトで叩くと、5分には「(神奈川はトレーニングのレベルから)高いです。狭いところでも崩せるし、止めて蹴ることも大事にしていて本当に技術が高いと思います」というAFC U-16選手権日本代表MF渡辺皓太(東京Vユース、1年)のラストパスでGKと1対1となったMF西川公基(桐光学園高1年)がループシュート。そして15分、早くも先制点を奪った。中盤で相手ボールをインターセプトすると、新潟の守備のバランスが完全に崩れたところを見逃さずに渡辺力が右中間からファーサイドのMF服部剛大(横浜FCユース、1年)へラストパス。今大会3戦連発中の服部が左足で先制点をたたき出した。

 神奈川はさらに20分、左SB平澤拓巳(横浜FMユース、1年)の右CKのこぼれ球を服部が右足で押し込んで2-0。新潟も24分にスピーディーなパスワークからMF宮崎幾笑(新潟U-18、2年)が左足ミドルを打ち込み、前半終了間際にはMF今井真平(新潟明訓高1年)がPAへ割って入るシーンもあったが、GK原田岳主将(横浜FMユース、1年)が守る神奈川ゴールを脅かすまでは至らない。逆に神奈川は「点を取るため」のパスワークから縦への迫力ある攻撃で決定機を連発。28分には渡辺皓のスルーパスから服部が抜け出し、29分には左クロスのこぼれを渡辺力が右足で叩く。そしてアディショナルタイム突入後の36分には田中のサポートを受けて左サイドでマークを外した渡辺力がPAへラストパスを通す。これを渡辺皓が絶妙なコントロールから左足で決めて3-0と突き放した。

 前半はチャレンジする姿勢が結果に繋がらなかった新潟も後半開始直後に会場を沸かせる。2分、右サイドの宮崎を起点に、MF関口正大(新潟明訓高1年)が出したラストパスで右中間を抜け出したFW堀航輝(新潟ユース、1年)がGKの股間を射抜くシュートを決めて1点を奪い返した。そして畳みかけようとする新潟は3分にも関口が思い切った右足ミドルを放つ。だが神奈川はびくともしない。4分、左サイドの平澤からのパスで抜け出した渡辺力がGKをかわして4点目のゴール。さらに13分には左サイドから中央を経由して逆サイドまで展開し、最後は交代出場のMF石原広教(湘南ユース、1年)が切り返しからの左足シュートで5点目のゴールをたたき出した。

 田中や渡辺皓を中心にボールを動かして攻撃陣が破壊力を示した神奈川だが、セカンドボールを回収し続けたMF齊藤未月(湘南ユース、1年)や厳しいチェックでボールを奪い取った有馬弦希板倉洸(ともに横浜FMユース)のCBコンビ、右サイドから運動量を落とすことなくチャンスメークした常本佳吾(横浜FMユース、1年)と各選手が役割を果たしていた。新潟GK杉本陸(新潟明訓高1年)の奮闘もあってこれ以上の得点は取ることはできなかったが、個々のレベルの高さを発揮して快勝した。

 神奈川の山本義弘監督(川崎市立橘高)は4連戦の疲労があったことを認めながらも「1試合1試合良くなっていました。1回戦から2回戦、2回戦から3回戦。きょうも良かったと言ってくれる人もいるんですけど、もっともっとかなというふうに思います。ところどころで、寄せきれなかったり、連続すべきところで連続してできなかったり、相手を見ないといけないところで見れなかったり、立ち位置変えないといけないところで変えられなかったり、そういうところが失点につながったと思います。この子たちはほとんど失点を取られないというか、予選リーグからずっとゼロで来ている。リスタートとかで壊されることはあったけれど、崩されて失点するのはボクは初めて見たので。そこはあした、しっかりと隙を見せないでやらないといけない」と引き締めていた。

 それでも大阪を4-0で快勝するなど、各試合で相手の2倍、3倍の数のシュートを打ち続けている神奈川の実力は間違いなくハイレベル。山本監督は「(トレーニングでは)個のところしかやっていないので。できないとか、ミスするとかに対してのこちらの基準は高くしているし、彼らも意識高くやってきてくれている。この子たちはほとんどの子がジュニア、ジュニアユースで日本一を経験してきている。それで満足してはいけないので、こちらとしては彼らの理想も高くしないといけないし、ボクらの基準も高くしないといけない」。より上をめざして取り組んできた成果が全国舞台での快進撃に繋がっている。渡辺皓は「このチームでやると勝つ気しかしなくてやっていて楽しいです。最後勝って優勝して終わりたいです」と誓い、立ち上げ当初から「このチームならいけるな」と思っていたという田中は「自分たちのサッカー、今までやってきたことをする。ボールを縦に入れて行って全員がゴールを狙える、そして全員で守る。そして日本一を勝ち取りたいと思います」と言い切った。

[写真]前半15分、神奈川は服部のゴールで先制

(取材・文 吉田太郎)
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