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[国体少年男子]3試合連続延長戦勝利!群馬県が9年ぶりの決勝進出!!

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[10.20 国体少年男子準決勝 群馬県 3-1(延長)京都府 雲仙市国見総合運動公園多目的芝生広場]

 第69回国民体育大会「長崎がんばらんば国体2014」サッカー競技少年男子は20日、準決勝を行い、05年以来となる決勝進出を狙う群馬県と77年以来の決勝進出を懸けた京都府が激突。1-1で延長戦にもつれ込んだ熱戦を群馬が3-1で制し、初優勝に王手を懸けた。

 3試合連続の延長戦勝利。時間が進むにつれて群馬の一体感が、どんどん向上しているように映った。ピッチの至る所から声が出て、京都の強力アタッカー陣にも1対1の勝負で負けなかった。そして献身的な走りを各選手が徹底。その踏ん張りが延長戦での2ゴールを呼び込んだ。群馬の櫻井勉監督(前橋育英高)は3試合連続の延長戦勝利を「国体の試合を1分でも長くやりたいんじゃないですか。70分で終わりたくないようで」と微笑み、「走力で負けたらウチは何も残らないです。(雰囲気の良さは)代わった子が獲ったりとか、同じ先発メンバーを組んでいないので、いろいろな循環をしているかもしれないですね。我慢比べではないですけど、京都さんはそういうところが強いので粘り強くやっていたんですけど、GKが救ってくれました」。PKをストップしたGK平田陸(前橋育英高2年)やともに交代出場でゴールを奪ったMF高沢颯(前橋育英高1年)とFW落合太輝(桐生一高2年)ら全員で掴み取った白星。群馬にとっては06年の国体U-16化以降初となる決勝進出となった。

 先手を獲ったのはMF田中康介とMF麻田将吾(ともに京都U-18、1年)のAFC U-16選手権日本代表コンビやMF岩崎悠人(京都橘高1年)ら攻撃陣中心にタレント揃える京都だった。前半15分に岩崎の折り返しからMF比嘉みちよし(京都U-18、1年)が右足シュート。16分にはFW三田尻和哉(京都U-18、1年)とのワンツーで岩崎がPAへ潜り込む。そして25分には田中の右足FKがゴールを捉えた。群馬も20分にFW荒木慶彦(前橋育英高2年)とのワンツーから右サイドを深くえぐったMF佐藤誠司(前橋育英高2年)の折り返しをFW池田啓佑(前橋育英高1年)が右足で狙い、27分にはMF尾ノ上幸生主将(前橋育英高2年)のライナー性の右CKをMF須藤祐(前橋育英高2年)が右足ボレーで合わせた。ただ京都は28分、GK谷田貝壮貴(京都橘高1年)のキックを比嘉が競ると、ディフェンスラインの背後へ落ちたボールに反応した三田尻が右足ループシュートでゴールへ沈めて先制点を挙げた。

 対する群馬は、後半開始から高沢とFW吾妻怜(前橋育英高1年)を同時投入。すぐに反撃体勢へシフトすると7分、左SB綿引廉(前橋育英高2年)が放り込んだFKを吾妻が競り勝ち、これで抜け出した高沢がキックフェイントでDFを外してから右足シュートをゴールへ流し込む。苦しい展開の中、一発で同点に持ち込んだ。群馬は172cmの浅賀祐太(前橋育英高1年)と169cmの田沼和樹(桐生一高1年)の両CBが非常に出足のいい守り。相手と身体をぶつけながらでもボールを弾き返すと、対人守備の高さを見せた綿引や右SB萩原大河(前橋育英高2年)がサイドの攻防戦で負けずに戦っていた。それでも京都の攻撃力は強力。8分には麻田のパスを受けた三田尻が巧みなコントロールからDFを外してクロスバーを叩く右足シュートを放つ。セットプレーから迎えたピンチをDFの好クリアで逃れるなど、京都も相手に負けじと攻守に集中力高い試合を演じていた。

 そして15分、京都はカウンターから岩崎が中央突破。そして左前方へ出されたパスから縦に仕掛けた田中がPA内でファウルを受けてPKを獲得する。京都に訪れた勝ち越しの絶好機。ただ、キャプテンマークを巻いた田中の右足シュートは群馬GK平田が左へ跳んではじき出す。雄叫びを上げながらチームメートと抱擁する平田。群馬はこのビッグセーブによって明らかに、乗った。京都は20分にもディフェンスラインを攻略した岩崎が抜け出したが、GKとの1対1から放たれた右足シュートは平田がワンハンドでストップ。21分にもMF島村拓弥(京都U-18、1年)のラストパスがゴールエリアに入るが、田中が必死に伸ばした足はわずかに届かない。
 
 群馬は「自分たちは後半に強いチームなので、バックラインからどんどん声を出して守備をしながら攻める。負けたくないという気持ちが大きかったですね。それがチーム一丸となった。負けていなかった」と語るMF大塚諒(前橋育英高1年)や尾ノ上、高沢らが献身的な走り。局面でも負けずに京都に食い下がる。そして延長戦開始から鹿児島戦決勝ゴールのFW落合を投入。京都は2分、落合と同じく延長戦開始からピッチに入ったFW赤間勇斗(京都U-18、1年)の左足シュートがゴール右ポストをかすめ、5分にもPAから赤間が右足シュートを放つ。ただ好機が得点に結びつかなかった京都を群馬が「切り札」のゴールで突き放す。6分、敵陣で相手CBが頭でクリアしたボールを右中間で拾った落合が、「相手が右側にいたので左側にドリブルしてGKを寄せて逆側のコースを狙っていた。昨日も決めていてゴールのイメージもできていた」と左前方へのドリブルで相手DFを振り切って左足シュート。決して強いシュートではなかったが、コースを突いた一撃はGKの指先を抜けてそのままゴール右隅へ吸い込まれた。

 歓喜を爆発させた群馬はさらに延長後半3分、左サイドでこぼれ球を拾った落合が高速ドリブルでDFを抜き去り、すかさずスルーパス。「前にスペースがあるとグッと行ける」(櫻井監督)という佐藤がこれに反応して抜け出すと、GKとの1対1から右足シュートをゴール右隅へ流し込んだ。京都も諦めずに田中の右足シュートなどで反撃したが、平田が「きのうはちょっと足が止まっている場面があったんですけど、きょうはみんな声出して献身的にやっていたと思います。セカンドボールを拾ってくれていたし、ハードワークしてくれた」」と評した群馬はルーズボールをマイボールに変えた大塚や両CBに加えて交代出場で右SBに入った金田蓮(前橋育英高1年)ら全員の集中力が途切れず。逃げ切って決勝進出を果たした。

 群馬は相手の速い攻撃の前に飲み込まれるなど、落ち着きを欠くシーンがまだまだ多い。櫻井監督も「(ボールを支配しながら流れを)変えられないので修正したいですね」という。ただし、タフな戦いを制してきた経験とチームの一体感は大きな武器だ。神奈川県との関東勢決戦となる決勝では準決勝よりも質の部分を向上させ、「全員で勝ちたいです」という平田の言葉通りに、一体感を前面に出してチーム全員でタイトルを獲る。

[写真]延長前半7分、群馬は落合が決勝点となる左足シュートを決める

(取材・文 吉田太郎)
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