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[国体少年男子]「彼らがどう感じてくれるか」初優勝逃すも、群馬県は今後へ繋がる堂々の準V

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[10.21 国体少年男子決勝 神奈川県 1-0 群馬県 雲仙市国見総合運動公園多目的芝生広場]

「最後まで出してくれたと思います。そこ(準優勝という結果)はもっと練習しろ、ということじゃないですか」。群馬県の櫻井勉監督(前橋育英高)は無念さを滲ませながらも、その表情はどこか清々しさも感じさせた。3試合連続の延長戦を勝ち抜いて迎えた決勝。初優勝を目指した群馬は立ち上がりに失点したものの、MF尾ノ上幸生主将(前橋育英高2年)中心にチーム内で声を掛け合いながら、集中力を切らさずにチャンスをものにしようとした。

 前半からショートカウンターがハマり、右MF佐藤誠司(前橋育英高2年)が2度、3度と右サイドを縦に抜け出した。ただバイタルエリアまでは何度もボールを運んだものの、そこからの崩しやシュートの質が上がらず。早め早めの交代策で投入された2試合連続決勝弾の「切り札」FW落合太輝(桐生一高1年)が、スピードを活かした仕掛けから相手ゴールを脅かすシーンもあったが、最後は退場者を出して守りを固める神奈川守備陣を破れなかった。それでも神奈川の山本義弘監督(川崎市立橘高)に「強かった。群馬の子は粘り強い」と言わしめた強さ。神奈川の強力攻撃陣に崩されてもゴール前で身体を張って決して2点目を許さず、最後まで諦めずに戦いぬいた姿勢は見事だった。

 指揮官は「結果に関しては満足していないですけど、彼らが4試合高い水準で試合ができたという事に関しては、彼らがどう感じてくれるか。群馬として選手は一生懸命やってくれましたけれど、何かを感じて次のステップに進んでもらいたいと思います。ボクら(コーチングスタッフ)も一緒です。やりっぱなしというのが一番良くないので、だからダウンもしないで帰るんじゃなくて、最後までキチッとやろうということは選手にも、スタッフにも伝えました。ひとつ終わればひとつスタートなので。次、彼らのステージが選手権かもしれないし、新チームの中心かもしれないし、まだ分からないですけど次のステップでまた彼らが成長してくれればいい」。

 今回の群馬の選手構成は前橋育英高が14人で桐生一高が2人。その群馬が長崎・島原商高出身の前橋育英・山田耕介監督の出身地である長崎県で開催された国体で躍動した。「ここで初優勝できれば、一番格好いいんでしょうけど甘くない。ただ、少しでも足跡というか、我々の頑張りだったり、元気だったり、気持ちは少しでも残せたかなと」。滞在期間を延長してチームを見守った山田監督から「ご苦労さん」と声を掛けられた群馬チームは新たな目標へ向けて走り始める。

(取材・文 吉田太郎)
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