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[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手vol.5」_FW岩元颯オリビエ(鹿児島城西高)

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特集企画[選手権予選]「全国9地域の注目校・選手」

 ゲキサカでは「選手権予選 全国9地域の注目校・選手」と題し、佳境に突入している全国高校選手権予選から各地域の注目校や注目選手を紹介。ユース年代を主に取材するライター陣に北海道、東北、関東など各地域から、選手権予選へ臨む注目校や注目選手を紹介してもらいます。第5回はジュビロ磐田入り内定の注目ストライカー、鹿児島城西高(鹿児島)FW岩元颯オリビエ選手です。

「鹿児島城西でチームのために戦うとか、自分が絶対に決めないといけないとか、責任感を覚えながらプレーしています」。

 京都サンガF.C.U-18でプレーしていた彼が、鹿児島城西にやってきたのは去年のことだった。人工芝のグラウンドで、綺麗なボール、綺麗な練習着を来て練習をしていた環境から、土のグラウンドで、ボールも使い古されたものが多く、練習着も新品ではなく、先輩から引き継いだものへと大きく変わった。

「よくリバウンドするので、しっかりとボールやバウンドを見極めてシュートを打たないといけない。ボールをしっかりとインパクトしたり、どんな形であれ、(鹿児島城西に入って)どん欲にゴールを目指す姿勢を磨くことが出来た」。

 もともとストライカーとしての能力が高かったが、フィジカルとゴール前での迫力に欠けていた。うまくプレーしようとするあまり、ストライカーに大事な『怖さ』が足りなかった。しかし、鹿児島城西に来て、決して良い環境じゃないからこそ、よりがむしゃらにサッカーに打ち込めた。そして、チームのエースストライカーとしての自覚も、彼を精神的にも技術的にも大きく飛躍させた一因となった。

 3年生になった彼は、かつてFW大迫勇也が背負った背番号9をつけ、心身ともにチームのエースとなった。しかし、5月の全国高校総体予選準決勝では、鹿児島実高の徹底したマークに合い、シュートを打てないまま、0-1の敗戦を喫した。

「何も出来なかった自分が本当に悔しかった。こういう試合で点を取れないのは、自分の実力が足りないからこそ。何とかしないといけないと思った」。

 チームが苦しいときこそ、点を取って勝利に導くのが真のエース。偉大な先輩・大迫勇也はそれを体現して、チームを史上最高成績となる全国高校選手権準優勝に導いた。今度は自分がそれをしなければならない立場にあることを、彼は十分に理解していた。

「ここでは人間的にも凄く大きく成長させてもらった。この環境は正直、最初は『マジかよ』と思って戸惑ったけど、プレーしていくうちにこれが当たり前になったし、今はチームのために自分が何が出来るか。その中でしっかりとゴールという結果を残すことが重要で、いろんなことを考えながらプレーできています」。

 メンタル面で大きく成長できたこともあって、目標であったプロになる夢もかなえることが出来た。来年はジュビロ磐田でプレーすることが決まった。「インターハイに出られなかった分、選手権には絶対に出たい。このチームで一つでも上で戦いたい」。

『古都のストライカー』から怖さのある『薩摩のストライカー』へと変貌した彼は、総体予選の悔しさを胸に、激戦区・鹿児島を自らの足で蹴散らして、チームを全国に導かんと、不屈の精神で最後の大会に臨まんとしている。

(取材・文 安藤隆人)
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