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[MOM1162]香芝FW山田大雅(3年)_FW転向2か月でゴール量産、主将がひとりで11発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] 
[10.26 全国高校選手権奈良県予選2回戦 青翔高 0-22 香芝高 奈良学園高グラウンド]

 いとも簡単に積み上げていくゴールの山。80分の間に奪った香芝高の22得点の半分、11得点を奪ったのはFW歴わずか2か月という主将、山田大雅(3年)だった。

 ファーストゴールは開始から15秒。キックオフと共に左前方に蹴り出したボールをPA左外で受けると、「来た瞬間、狙えるかなと思って狙ってみた」と角度の無い位置から打ったシュートがネットを揺らし、先制に成功。14分には「ヒデ(FW田中秀行)とコンビネーションをとりたいと思っているので、なるべく近くでプレーしている」という田中との連係プレーでアシストを記録すると、17分にはPAの混戦から田中がヒールで掻き出したパスを冷静に決めた。

 以降も順調に得点に重ね、前半だけで5得点奪ったが後半も勢いは衰えず。ドリブル突破から、高い位置でのボールカットから、飛び出しからと多彩な得点パターンで6得点をゲット。終わってみれば1人で11得点を奪う活躍を見せた。

 この日はFWとしてのセンスを存分に発揮したが、2年生までは左足での正確なキックが持ち味の左SBだった。今年も当初は一列ポジションを上げた中盤を任されており、これまではFWの経験は一切なかった。転機となったのは6月。総体予選の準決勝、一条高戦で靭帯を損傷し、回復までに2か月以上かかった。プレー出来ないもどかしさと共に感じたのが居場所の無さ。「チームは総体に負けて、選手権へと気持ちを切り換えていたので、『お前はもういらん』という雰囲気があって、寂しかった(笑)。勢いのある一年生も出てきたし、キャプテンだけどもうポジションが無いかもと思っていた。マジでやらないとマズいと思ったので、練習では出来なくても家で走ったりするようにしていた」。

 だが、彼が不在の間にMF玉木仁ら下級生が台頭した事で「キックが正確なので、その良さはシュートの正確さに繋がるのではと思った」(米原勝監督)と特長を活かせるFWへのコンバートが模索された。練習復帰した夏休みの8月末に本人に言い渡され、「最初はホンマに出来るか不安やった」と話すが、隠れていた才能はすぐさま開花。「やってみたら意外と点も獲れて良い感じやった。前を向くのが得意だし、いつもシュートを打とうという気持ちを持っているのが良かったのかも」と水を得た魚のように活躍し始めた。

 2年前に香芝が全国大会に出場した際は大会登録の25人に選ばれながらも出場機会はなし。「試合に出られなくて悔しい思いをしたから、絶対に選手権に出てスタメンを勝ち取ろうと頑張ってきた」と走り続けた。成果を示す時は来た。自らの左足で選手権出場を掴み取る。

(取材・文 森田将義)
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