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[選手権予選]26年間指揮した前任校から金星!大森監督率いる仙台城南が王者・東北撃破!:宮城

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[10.26 全国高校選手権宮城県予選準々決勝 東北高 1-2 仙台城南高 宮城県サッカー場]

 26日、第93回全国高校サッカー選手権宮城県予選準々決勝が行われ、昨年度の優勝校である東北高と仙台城南高との一戦は、仙台城南が2-1で勝利。聖和学園高と戦う準決勝へ進出した。

 83年から26年間東北高の指揮を執り、MF今野泰幸(現G大阪)を擁した00年度に全国8強へ進出するなど6回の全国高校選手権出場を果たしている名将・大森貞夫監督。その大森監督が09年から率いる仙台城南が、番狂わせを起こした。試合終了の笛とともに青色のユニフォームが歓喜の輪をつくる。「本当にもう限界ですね。120パーセント出してくれましたよ。これで負けてもボクは本当に悔いがなかったし、ダメだというところまでよくやってくれたと思います」と大森監督。そして「こんなに早く(東北に勝つことができる)とは思わなかったですけど。(今年、前評判がそれほど高くなかった東北に)喝を入れる意味でも勝って、目を覚まさせてあげたかったですね。このレベルでも上叩けるというのを見せたかった」。前任校への思いを口にしながら、快挙を成し遂げた仙台城南イレブンの姿に目を細めていた。

 大森監督が選手に伝えたのは「(負けても)泣いたりするな」ということ。やり残したことがないくらいに、涙も出ないくらいにピッチで戦い抜くことを求めた。それを選手たちが“120パーセント”の力で表現した。前半、MF庄司龍世(2年)が蹴った「いいボール蹴りましたね。あのボールじゃないと入らないですね」(大森監督)という左FKをDF駿河拓弥(3年)が頭で合わせて先制ゴール。東北は司令塔のMF渡辺巧(3年)や10番MF土塩勇気(3年)をはじめ、昨年度の全国大会で先発を経験したメンバー9人がこの日も先発としてピッチに立っていた。その東北が反撃を展開するが、仙台城南は「精神的にはまだまだだけど、ヘディングはJクラス」(大森監督)というDF大山界人(3年)中心に駿河、DF鈴木風槻(3年)らが相手の攻撃を跳ね返し、両ワイドの選手もカバーリングを徹底。得点を許さない。

 そして1-0とリードしたまま迎えた試合終盤、カウンターからスピードに乗ったドリブルでPAへ侵入した10番FW阿部悠佑(3年)がファウルで倒されてPKを獲得。これを「先輩がつくってくれた絶好のチャンスだったので、必ず決めたいと思って決めました」という2年生の左MF田村丈一郎が左足で左隅へ決めて2-0と突き放した。2点ビハインドでも諦めない東北は後半アディショナルタイム、渡辺が右中間から左足FKをゴール右隅に決めて1点を返す。この後、仙台城南は最後の望みをかけて前線にロングボールを入れたが、集中力を切らさずに跳ね返した仙台城南が白星を掴んだ。

 仙台城南の主将を務めるMF阿部康佑(3年)は「(勝因は)自分たちは技術とかそういうのないので、守備の粘りと声とあと真面目さとかで相手に勝ろうというところで、早めに先制点が入って、その後も落ち着いて粘り強く守備ができたところだと思います。普段、大森先生からあんまり褒められないんですけど、自分たちは『守備やるしかない』と徹底されたことで、自分たちの意識も守備に重点を置いて監督の考えているものが自分たちに根付いたというか。そういうところで勝てたと思います」。

 大森監督は王者撃破を果たした選手たちに送るメッセージについて「選手には『まだまだだな』と言わないと」と微笑んだが、全力を出し尽くして番狂わせを起こした選手たちを讃えていた。準決勝の対戦相手は優勝候補の一角、聖和学園高。阿部康は「自分たちはチャレンジャーなので、失うものは何もないので、全力でぶつかっていきたいです」。準決勝でも、学んできた「全力で戦い抜くこと」をピッチで表現する。

(取材・文 吉田太郎)
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