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[選手権予選]大分南が大分撃破!選手権予選で初の4強進出!:大分

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[11.1 全国高校選手権大分県予選準々決勝 大分高 0-1 大分南高 中津市営サッカーグラウンド]

 第93回全国高校サッカー選手権大分県予選準々決勝が1日、中津市営サッカーグラウンドで行われた。大分県1部リーグ首位の大分高と同2位・大分南高との一戦は、大分南が1-0で競り勝ち、ベスト4へ名乗りを上げた。

 選手権初出場を狙う大分南は今年4月、県リーグで大分と対戦。その際は0-7と大敗を喫していたが、「その時は春先だったので、そんなに気にしていない」と三重野英人監督が振り返ったように、過去の対戦でのスコアにとらわれることなく、序盤は積極的な試合運びを展開する。前半4分にMF上原成貴(2年)が約25mのFKを直接狙い、ゴールを脅かした。その後も、ダブルボランチのMF後藤雅弥(3年)、MF後藤優史(3年)を中心にボールを散らして、攻撃のリズムを生み出していく。

 しかし、そのリズムも15分頃まで。大分南は17分に大分MF赤木大星(3年)の右FKからCB佐藤駿介(3年)にファーサイドでヘディングシュートを放たれると、この後はドリブルで仕掛けてくる左の赤木、右のMF川野優真(3年)ら大分攻撃陣に押し込まれる時間帯が続いた。34分にはGK小野恵輔(3年)が防いで事なきを得たが、左サイドから赤木にドリブルで仕掛けられ、PAやや外側からミドルシュートを放たれた。序盤以降チャンスらしいチャンスが掴めていなかった大分南も、36分に右SB本田大也(2年)の右クロスにニアサイドのFW市田将剛(2年)が頭から突っ込む。だが、この一撃は惜しくも大分GK箱田悠祐(2年)の好セーブに阻まれ、前半は互いに譲らずスコアレスのまま折り返した。

 後半に入っても、大分南は守備に回る時間が多くなった。2分には川野の落としから中央の赤木、17分にはPAやや左からMF山本光彦(1年)にそれぞれミドルシュートを放たれる。それでも、大分南は168cmCB平川隆太(3年)と172cmCB安藤凌(2年)を中心に身体を張った守備で得点を許さない。

 すると、20分を過ぎたあたりから、大分の足が止まり始め、ボールホルダーへのプレスが甘くなる。ここを見逃さなかった大分南はFW竹本伊吹(2年)のスピードを活かし、相手の裏へとボールを入れる。さらに、大分南はここで4-4-2から3-5-2へと布陣を変更して勝負を仕掛けた。すると、この三重野監督の采配が見事に的中。直後の31分、左SBから左ウイングバックにポジションを上げていたDF渡邉鷹也(2年)が中央でボールを受けると、キックフェイントを入れてPA内中央の市田へくさびのパスを入れる。これを市田がヒールではたくと、ボールは相手の股下を抜けて左サイドへ。このボールを左サイドハーフから右ウイングバックにポジションを変えていた上原が受ける。そして冷静にコントロールした上原が右足でニアサイドに流し込んだ。これが熱戦に決着をつける決勝点となった。

 大分南の三重野監督は今年で就任3年目。以前は大分鶴崎高で指揮を取り、チームを2年連続で選手権出場に導いた実績も持つ大分屈指の名将だ。しかし、新たに赴任した大分南は新人戦、総体、選手権を通じて県大会ベスト4まで勝ち上がったことのない無名校。それだけに、赴任した当初は「『自分が赴任をしてサッカーをやるよ』と言っても、(選手達は)『そこまでサッカーをやらなくても県大会ベスト8を目指せれば』という感じがあり、違和感がありました」と、チームの足並みが揃わず苦労したという。しかし、「自分が来るまでは、県外に遠征をすることなどやったことがなかった。なので、大分鶴崎の時のパイプを活かして日章学園や大津などと試合をやらせた」というように全国のレベルを体感させる機会を儲け、経験を積んでいった。すると、ようやく今年の新人戦でその芽が開き、創部初となる県大会ベスト4。総体予選では1回戦で情報科学に敗れたものの、大分県リーグでは2位に付け、その実力は確かなものとなってきている。過去最高の記録に並んだ大分南が目指すのは、チーム初の決勝進出と全国への切符だ。「石の上にも3年」。この言葉通り、3年目で全国の大舞台に辿り着けるか、大分南の戦いから目が離せない。

(取材・文 松尾祐希)
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