beacon

[選手権予選]後半逆襲の丸岡、PK戦で北陸を下して3年連続の全国へ:福井

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.1 全国高校選手権福井県予選決勝 丸岡高 2-2(PK3-2)北陸高 テクノポート福井スタジアム]

 PK戦ではあったが、地力でねじ伏せた印象だ。第93回全国高校サッカー選手権の福井県予選は1日にテクノポート福井スタジアムで決勝戦を行い、丸岡高がPK戦の末に北陸高を下して3年連続27回目の全国大会出場を決めた。試合は元日本代表MF水沼貴史氏もコーチとしてベンチに姿を見せた北陸が立ち上がりから果敢に攻めて試合の主導権を握ったが、後半以降は強靭なフィジカルをベースに持つ丸岡のペース。80分では決着が付かずに2-2のまま延長戦、再延長戦とさらに20分を戦ったがゴールは生まれず、勝敗はPK戦までもつれ込んだ。互いに球際で激しく争い続け、両チームともに足をつる選手が続出。よりたくましい姿を期待したくなる場面でもあったが、熱戦だったことは間違いなかった。

 試合は、ドキリとする展開でスタートした。試合開始早々に北陸がFKのチャンスを得ると、いきなりゴールネットを揺らした。わずか34秒での先制弾かと思われたが、FKに合わせた選手がオフサイドの判定を受け、ノーゴール。しかし、出足では完全に北陸が勝った。FW坊卓哉はゴリゴリと体を当てながら、そして左MF小林亮太は巧みな足技を見せながら、ともにドリブルで前進。中盤から主将の金子龍馬が飛び出して好機をうかがった。前半35分、左に開いて金子からパスを受けた坊がドリブルシュート。GKが飛びつこうとしたがDFに当たってこぼれたボールを右MF岸本佳宏がプッシュして先制点を決めた。北陸は、体を当てながらもバランスを崩さない攻撃陣に迫力があり、サイドで起点を作ると人数をかけたコンビネーションからゴール前に入っていく動きが目立った。

 ところが、後半に入ると北陸は攻め疲れとリードを活かしたい心境から、引き気味になった。すると、丸岡は長身FW長侶凌が相手最終ラインの手前でボールを収める機会が増え、スピードのあるサイドアタックで押し込むことに成功。丸岡のMF宮本慎太郎は「後半になってセカンドボールを拾えるようになったのは、僕らが良くなったというより、相手のディフェンスラインが引いていて中盤が空いていたから、僕らが前向きで拾いやすくなったということの方が大きかったと思う」と明かした。丸岡は後半8分に長侶の放ったミドルシュートがクロスバーを直撃。直後に右サイドで得たFKで2年生MF濱口祐二が浮き球をゴール前に送ると、長身DF南雄一郎がヘディングで合わせて同点とした。

 この後の展開は目まぐるしかった。後半17分、丸岡は長侶がターンからスルーパスを繰り出し、途中出場のMF飯田大智がGKとの1対1を迎えたが、飛び出した北陸の守護神、由田陸に防がれた。しかし、後半19分に左サイドを崩して好機を作ると、キレのあるドリブルが持ち味の左MF荻尾将人のラストパスを受けた長侶がきっちりと押し込んで逆転に成功した。試合は完全に丸岡ペースになったと思われたが、後半25分に北陸は左MF小林が相手の隙を見逃さずに高い位置でインターセプトを仕掛け、ショートカウンターに移行。ドリブルでゴール前へ入り込んで敵を引きつけてから左にはたくと、FW坊が迷わずゴールへたたき込み、試合を振り出しに戻した。

 その後は、両チームとも数人が足をつる状態の中で攻め合った。後半31分、丸岡は飯田がドリブルで攻め込み、出て来たGKをかわして右の鋭角からシュート。しかし、北陸はDF福田翼がゴールをカバーして難を逃れた。延長前半には北陸がサイドチェンジからバックパスをボランチの冨永奎輔がミドルシュートで狙ったがGKに弾かれた。延長後半8分には丸岡が左サイドを攻略し、低いクロスを長侶が狙ったがゴールの右に外れた。再延長では、北陸の切り札となった2年生MF嶋津裕真が何度も果敢にシュートを放ったが、相手のブロックに阻まれた。

 試合はPK戦に突入。先攻の北陸は、1人目が止められる苦しい展開でスタート。3人目がゴールの枠を外し、相手の4人目がポストに当てて失敗したが、直後の5人目のキッカーが止められて万事休す。丸岡は「PKは全然得意じゃない。でも、PKは(通常の守備とは違って)自分しか止められない。やってやろう、負けるわけにはいかないと思っていた」と気合いを入れて臨んでいたGK辻陸斗が1本目と5本目を自力で止める活躍を見せて勝利を手繰り寄せた。

 丸岡の小阪康弘監督は「最初は相手の勢いが良かったが、DFラインの選手の表情を見たら落ち着いていたので問題はなかった。後半はセカンドボールを拾うように言って上手くいった。4バックは、元々DFじゃない選手ばかり。ずっと我慢して使って来て、ようやく守備が少し安定してきた。全国大会では延長も再延長もないので、さらに強化したい。PKは辻が2本止めてくれたので明るい材料になった」と安堵の表情を浮かべた。苦戦は強いられたが、最後はねじ伏せた。「福井最強」の譲れない看板を背負った戦いを制した丸岡が3年連続の全国の舞台に挑戦する。

(取材・文 平野貴也)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2014

TOP