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[選手権予選]2試合連続PK戦勝利!名門・前橋商が7年ぶりの決勝進出!:群馬

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[11.3 全国高校選手権群馬県予選準決勝 伊勢崎商高 1-1(PK5-6)前橋商高 前橋総合]

 第93回全国高校サッカー選手権群馬県予選は3日、前橋総合運動公園陸上競技場で準決勝を行った。伊勢崎商高前橋商高との戦いは1-1で突入したPK戦の末、前橋商が6-5で勝利。7年ぶりの決勝進出を果たした前橋商は8日の決勝でライバル、前橋育英高と対戦する。

 伊勢崎商が05年以来、前橋商にとっては04年以来となる全国大会出場へ向けて負けられない準決勝。強風吹きつける中で行われた熱戦を制したのは、11回の全国大会出場を誇る名門、前橋商だった。先制されながらも追いついてPK戦の末につかんだ白星。就任1年目の笠原恵太監督は「ホッとしています。(OBたちにとっても悲願だが)選手が一番喜んでいるんじゃないですかね」と決勝切符をもぎ取った選手たちに目を細めていた。

 先制したのは前半、風上の利を活かして攻めた伊勢崎商だった。まずは8分、縦パスから攻撃の柱を担うMF鈴木英紀(3年)が左足シュート。今大会ここまで4試合で17得点をたたき出している伊勢崎商は空中戦で強さを発揮したMF井埜光貴(3年)やセカンドボールを拾うMF倉林俊介(2年)が素早く前線にボールを入れ、そこから先制点を狙った。そして21分には鈴木が左サイドからスルーパス。前橋商のCB額田泰斗(3年)は「前に速い選手がいて、ボールから離れる動きがあった。先制点もそこでやられた」と悔やんだが、相手最終ラインにできたギャップを見事についたMF中村光雅(3年)が独走する。そして非常に落ち着いたフィニッシュで先制点を流し込んだ。

 だが、前橋商は前半のうちに追いつく。13年U-17日本代表候補のMF品川侑輝(3年)や額田を軸としたポゼッションから、スペースへ飛び出すFW堀友樹(3年)が起点となり、反撃。そして左サイドでキープ力を見せたMF澤口和哉主将(3年)や左SB山田浩貴(3年)のクロスで同点を目指した。32分に澤口の左クロスをMF山崎稔輝(3年)が合わせた右足ボレーは阻まれたものの、直後の33分に歓喜の瞬間が訪れる。澤口がゴールエリアへ向けて蹴り込んだ左FKに対して伊勢崎商GK星野航大(3年)が先にポジションを取ってキャッチしようとしたが、猛然と飛び込んできた額田がGKと競り合いながら強引に頭で押し込む。「一瞬審判見てファウルかなと思ったんですけど、ファウルじゃないということだったので嬉しかったです」という額田の執念のゴールでスコアは1-1となった。

 後半はともに思うような攻撃ができず、前橋商は品川のミドルシュートのみのシュート1本、伊勢崎商はシュートゼロという我慢比べとなった。前橋商は澤口が「つなげなくないほどの風だった」と振り返ったように、強風に頼ってロングボールを放り込むのではなく、グラウンダーのサッカーで勝負を挑む。そしてサイド攻撃を展開。11分に右SB川口大和(3年)、22分には山崎が右サイドからクロスを放り込んだが、伊勢崎商はCB金子涼介主将(3年)らが最後まで相手アタッカーから身体を離さず、クロスに触らせない。ロングボールも星野がPA外まで飛び出して対応する。一方の前橋商もCB豊川柊弥(2年)がロングボールを弾き、闘争心溢れる守りを見せた額田がこぼれ球を確実にクリアしてしまう。伊勢崎商は40分、鈴木のスルーパスでFW小久保翔斗(3年)が抜け出しかけたが、オフサイドの判定。互いに守備意識の高かった両チームの戦いは1-1のまま延長戦に突入した。

 延長前半6分、伊勢崎商は延長戦開始から投入されたFW石川敬汰(3年)の強烈な右足ミドルがゴールを捉えるが、これは前橋商GK青木一真(3年)がセーブ。前橋商も9分に山崎が決定的なダイビングヘッドを放ったが、これは伊勢崎商GK星野のビッグセーブに阻まれてしまう。延長戦に入り、右SB中澤洸喜(3年)の攻撃参加や石川の飛び出しでサイドを深く突くシーンが増えた伊勢崎商は延長後半4分、石川のクロスに中村が飛び込むが、わずかに触ることができない。対する前橋商も左サイドを起点に攻めて延長戦だけでシュート4本を放ったがゴールは奪えず。決着はPK戦に委ねられた。両チーム5選手ずつが成功して迎えた6人目、先攻・伊勢崎商は延長戦での攻撃参加が印象的だった中澤のシュートがゴール左へ外れてしまう。対して、総体予選準優勝校の常磐高との準々決勝をPK戦の末に勝ち上がって来ていた前橋商は、川口が右足で決めて熱戦に決着をつけた。

 前橋商は笠原監督就任後、ボールを大事にするスタイルを打ち出し、あえてバランスを崩して打ち合うような試合もさせていたという。この日は先制されたが、選手たちは慌てることなく攻め続けて前半のうちに同点。そしてPK戦で勝利した。指揮官は「トーナメントは失点しちゃうとダメなんでしっかり守って、最後のところはゼロで抑えて。でも『オレたち獲る気になれば獲れるよ』という自信をつけさせた」と振り返ったが、先制されたこの日はその取り組み、自信が奏功した。

 決勝の対戦相手はライバル・前橋育英。戦力、経験面でも劣勢となることが予想されるが、総体予選の対戦では敗れたものの、後半30分頃まで相手を無得点に抑えて苦しめている。澤口は「(決勝進出は)みんな正直にうれしいですし、このまま謙虚でみんな一丸となって戦いたいと思います。決勝でも謙虚に感謝の気持ちを持って優勝を狙いたいと思います」とライバル対決を制して優勝を勝ち取ることを宣言した。

(取材・文 吉田太郎)
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