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[選手権予選]東邦が決勝進出、堅守速攻で東海学園を撃破:愛知

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[11.8 全国高校選手権愛知県予選準決勝 東邦高 1-0 東海学園高 瑞穂公園陸上競技場]

 第93回全国高校サッカー選手権の愛知県予選が8日に瑞穂公園陸上競技場で行われ、第1試合では東邦高が1-0で東海学園高を下した。東邦は、今夏の高校総体でも愛知県予選1位として全国大会に出場。夏冬連続の県大会制覇まであと1勝と迫った。

 しかし、準決勝は東邦にとって苦しいゲームだった。試合は、東海学園のペースで進んでいたからだ。前半12分、東海学園はMF光崎伸の縦パスにFW加藤大貴が抜け出し、滑りながら流し込むようにシュート。惜しくもゴール右に外れたが、2年生コンビで最初の決定機を作った。さらに前半13分、右サイドからMF渡辺柊斗とMF城純輝が連係プレーを見せ、最後は光崎がミドルシュート。前半17分にはクイックリスタートから左を崩してFW森山巽貴がシュートと立て続けに攻め込んだ。

 しかし、前半28分に森山が抜け出してGKと1対1になった最大のチャンスは、シュートコースを狭めて来た相手GKに阻まれた。東邦は前線への放り込みやアーリークロスからチャンスをうかがったが、前後の選手の距離感が遠く、サポートがないために前線が孤立。まったくと言って良いほどチャンスを作ることができなかった。東邦を率いる横井由弦監督は「ここまでの試合内容から考えて、少し押し込まれるのは仕方がないと選手に話した。ただ、私が思った以上に選手が消極的で受け身になって引いてしまった。ハーフタイムには、『本来のように前から行っていいよ」と言った。やり方を変えたというよりは、意識を変えたのだけど、ここまで変わるならもっと早く変えれば良かった」とペースをつかめなかった前半を振り返って苦笑いを浮かべた。

 指揮官の言葉どおり、前半をしのぎ切った東邦は、後半は前線から圧力をかけて逆襲に出た。前線から積極的に相手ボールを追いかけ、奪われても高い位置で奪い返すことで攻撃の機会が増加。後半2分、右中間でボールを受けたFW西村雄生がヒールキックでパスを出すと、走り込んだFW鈴木大嗣が後方から相手に倒された。しかし、西村はシミュレーションと判定されて警告。絶好の得点機だったが、物にできなかった。

 それでも東邦の勢いは止まらず、後半4分には左サイドで鈴木、途中出場のMF齋藤晃一、西村とつなぎ、右へ振ってMF澤田奨平のクロスに西村が合わせるなどチャンスを作り出した。さらに後半13分、澤田のクロスを中央で競り合ってそのまま逆サイドへ流れたボールを齋藤がシュート。そして後半19分、最前線でボールを受けた鈴木が相手と競り合いながら前方へパスを送ると、抜け出した西村がゴールを狙い澄ましてシュートを決め、先制点を奪った。西村は「いつものパターン。大嗣は、あれが持ち味。つぶれてくれたところを僕がワンタッチで抜け出す。前半は相手ペースで(前線に)ほとんどボールが来なくてヤバイかなと思った。でも、後半は前から行こうという話になって、この時間に点を取らないといけないと思っていた。(スタンドに向かって走った瞬間は)最高だった。サッカーをやっていて良かったと思った」とゴールの手ごたえを語った。

 リードを奪われた東海学園は、選手交代でテンポアップ。後半28分に途中出場のFW古橋雄司が最前線でターンを仕掛けて相手の最終ラインと入れ替わったが、シュートコースに東邦のDF山田尚哉が間一髪で飛び込んでブロックした。また、後半34分に東海学園は光崎のスルーパスからMF細萱飛希がシュートチャンスを得たが、これも東邦のDF山田のスライディングブロックに阻まれた。山田の危機対応は、抜群の一言。横井監督も「アイツ、1人で守っていたな」とうなるほどだった。そして、東海学園は、結局、最後まで好機を決められなかった。後半36分、野村剛希の浮き球のパスで古橋が最終ライン裏に抜け出て完全な決定機となったが、シュートは、相手GKの好守に防がれた。

 試合は、ほどなくタイムアップ。攻めながら得点を奪えなかった東海学園と、前半を耐えしのいで反撃に成功した東邦とのコントラストは大きかった。勝った東邦は、15日に同会場で行われる決勝戦で中京大中京高と対戦する。得点を演出した鈴木が累積警告で出場停止となるために厳しい戦いが想定されるが、西村は「応援団も含めて一致団結して戦いたい。東邦の特徴は、堅守速攻。全員で守って、1点を取って勝ちたい。連続ゴール、もちろん狙っていきます」と力強く言い切った。

[写真]東邦は後半19分にFW西村雄生の決勝点で東海学園に勝利

(取材・文 平野貴也)
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