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[MOM1201]香川西MF田代公彦(3年)_「どくれる」態度改め、這い上がったサイドアタッカー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.8 全国高校選手権香川県予選決勝 高松北高 0-1 香川西高 丸亀競技場]

 県予選9連覇を達成した香川西高の攻撃を牽引したのは、どん底から這い上がった右サイドMF田代公彦(3年)だった。

「真ん中ばかりで攻撃をやっていたのであまりボールが来なかった」と振り返ったように試合開始直後はサイドで孤立する場面もあったが、時間の経過とともに右サイドにボールが入り始めると、次第に持ち味であるスピードを活かした飛び出しとドリブル突破で好機を作り始めた。

 前半28分には中央でボールを持ったMF福島崇斗のスルーパスに反応すると、素早く縦のスペースを抜けてゴール前にグラウンダーのクロスを展開。FW藤岡航世とはわずかに合わなかったものの、あわやの場面を演出した。この1プレーで勢いに乗った田代は後半1分にも右サイドからゴール前に低いクロスを入れて、FW蓮井翔のシュートを生み出した。「こういう場になると、なかなか思ったようなプレーが出来ない。サイドならもっと縦まで行き切ってアシストできれば良い。最低でも相手に当ててCKを獲れたり、もっと攻撃で貢献したい」と悔やんだように、ゴールやアシストなど記録に残ることは出来なかったが、その後も見せ場を何度も作ったように、記憶に残る活躍を見せたと言えるだろう。

 昨年度の選手権にも出場。大浦監督を始め、関係者の多くが「サイドが持ち味」と口にする今年の香川西を牽引する選手だが、田代にとって今年は苦難の連続だった。5月に腰を痛めた影響で、総体予選は出場機会を掴めず、出番は準決勝と決勝のわずかな時間のみ。傷が癒えた7月にAチームに完全復帰したものの、大浦監督からかけられた「もっと守備をしろ」という指示に対し、「攻撃がしたかった」と素直に受け止められず、四国の方言で“ふれくされる”という意味の「どくれる」状態だったという。

 その態度が仇となり、夏休みはCチームまで降格。この事が、「めちゃくちゃ悔しかった。ここに何しに来たかと自問自答した。Aチームとはレベルがまったく違って、楽しくなかったし、上でやらないと意味がないと気付いた」と彼の変化を生むきっかけとなった。

 これまでは、藤岡が「人に指摘をされると嫌な顔をしているのが丸わかりだった。どくれているのがプレーにも表れていた」と指摘するように感情がすぐに出る性格だったが、まずは意識改革に着手。「監督から何か言われたら、しっかり返事をするようにし、いつも笑顔で応えるように心掛けた」(田代)。監督からの言葉を一つ残さず吸収しようと些細な言葉にも耳を傾けた結果、コンスタントに持ち味を出せるようになった。また、堅守速攻を心掛ける香川西のスタイルも速さと持久力という彼の持ち味にピッタリで、大浦監督からも「田代は最近、良くなってきている。香川西のやり方が分かってくれるようになってきた」と評価されるようになった。

 Cチームから這い上がり、掴んだ全国の舞台では「選手権予選ではアシストできたけど、点が決められていないので全国では得点を獲りたい」と意気込む。登り調子とはいえ、まだスタートラインに立ったばかり。更なる上を目指し、香川西を右サイドから盛り上げるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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