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[MOM1207]中京大中京FW小原羽矢駄(3年)_宮市の後釜は「中京のスアレス」を目指す、覚醒間近のストライカー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.8 全国高校選手権愛知県予選準決勝 岡崎城西高 1-3 中京大中京高 瑞穂公園陸上競技場]

 今季の中京大中京高には、意気の良いFWが最前線にいる。1トップを務める小原羽矢駄は、高校最後の舞台となる選手権で全国大会に王手をかけ「昨季は(宮市)剛君が9番を背負って、注目されて、すごいプレッシャーを受けながらプレーしていた。その姿を身近に見ていた。その重圧に比べたら、僕なんて結果も残していないし、注目されるレベルにもない。思い切りやるだけ」と笑顔を見せた。

 自身は右CKをニアサイドで合わせてチームの2点目をマーク。その後も積極果敢なプレーで相手ゴールを脅かした。坊主頭の点取り屋は「試合開始早々に得点が入って、心に余裕ができてしまって追いつかれた。ここで自分が1点取らないといけないと思った。CKは、キッカーの辻星哉が練習通りに僕の欲しいところにピンポイントで蹴ってくれた。決めることができて良かった」と決勝点で勝利に貢献した試合を振り返った。

 相手の背後へ抜け出すスピード、滞空時間の長い空中戦、そして相手の嫌がるところへ仕掛けていく突破が持ち味。身長171cmと決して上背がある方ではないが、対人戦を厭わずに走り回り、空中戦もほぼ制圧するなど、前線でどん欲にボールに絡み続ける。プレーのベースとなっている身体能力は、かつて名古屋で活躍した岡山哲也監督も認めるところだ。しかし、夏までは決定力不足という大きな課題が残っていた。だから、岡山監督は「抜け出しとヘディング、どちらもタイミングが良いし、身体能力は高い。あれは、僕が教えたものじゃなくて、元々持っているもの。ただ、ボールキープは懐に入れ過ぎてしまうし、チャンスは多く作るけど、肝心なときに決めない。だから、岡山哲也みたいな感じじゃない?」と茶化したが、その話しぶりからは期待の高さがうかがえた。

 ウルグアイ代表のルイス・スアレス(バルセロナ)のように、ゴールをどん欲に狙い続けるストライカーになることが目標だという小原は「1年生のときから起用してもらっているけど、期待に応えられていない。最後の大会なので、100%の力を出して、どん欲に頑張っていきたい。チャンスになると、決める前から決めたような気になるというか、気が緩んでしまうところがあって、監督にいつも怒られて直してもらっている。ゴールネットを揺らすまで、しっかりと打ち切るところをやらないといけないと思っている」と謙虚に課題と向き合っているが、夏をきっかけに自信を深めている部分もある。高校総体は2回戦で敗れたが、小原は2得点。「あれから少しずつ決める感覚がついてきて、自信も出てきた。それに2年のときは上手くできるかなというプレッシャーもあったけど、3年生だから、もうやるしかないと思っているし、その分(プレッシャーを感じずに)余裕が出てきた」と、全国大会の経験を成長の転機としている。

 岡山監督も「今大会ではよく決めている。本人がどう思っているかは分からないけど、僕は彼が落ち込むようなダメ出しを続けながら、起用し続けてきた。自覚が変わってきているのではないかと思う」と変化の兆しを感じているところだ。チームには、中盤に組み立てと崩しの動きを兼ね備えた富田光というエースがいるが、チームが勝ち続けるためには何よりもストライカーの得点が不可欠だ。そして、覚醒間近の小原が「中京のスアレス」としてブレイクするためにも、全国大会の出場は絶対条件となる。昨季のエース宮市剛(湘南)は、1年次に大活躍を見せて全国8強に貢献したが、3年次には全国の舞台に立てなかった。後釜として9番を背負う小原は、愛知県予選の決勝で連続ゴールを奪い、全国大会出場を決められるか。要注目だ。

(取材・文 平野貴也)
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