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[MOM1209]松山北MF村上正憲(3年)_絶大な信頼置かれる松山北の核、決勝弾で大会MVP

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.8 全国高校選手権愛媛県予選決勝 松山北高 1-0 済美高 ニンスタ]

「彼がMVPになったら嬉しいですね」。大会MVPの発表が行われる前に松山北高の渡部晃久監督はそう口にしていた。指揮官は「周りのチームからは要注意人物ではないと思うんですけど、彼がいないと。松山北高校全体の核。オフ・ザ・ピッチのところは素晴らしいし、サッカーノートも毎日書いてきますし、彼のコメントは凄く正直で。ボクの練習が上手くいかなかったら、『きょうの練習はイマイチだった』とか。(選手たちとはそれくらい深い関係を築いているが特に)彼がいなかったら、インターハイもなかったと思いますし、陰のMVPというか。そういう選手だと思います」。決勝ゴールを決めた働きも含めてか、渡部監督から陰のMVPとして讃えられたMF村上正憲(3年)が、その期待通りに大会MVPを獲得。表彰式の中で一度はゲーム主将のCB上東嵩史がMVPとして発表されたが、すぐに訂正され、村上本人も苦笑いのMVP受賞となった。
 
 村上は渡部監督からの信頼について、「そう思って頂けるのは凄くありがたいことだと思います。でも、自分はまだまだチームのためにできることがあると思いますし、大会期間中は自分のマークでの失点があったりして、苦しい戦いにしたりしたんですけど、1、2年生が点取ってくれて、助けられた感じになったので、まだまだチームのためになれていないのかなと思っています。きょうも点取ったくらいで、実際に自分のプレーは苦しい時に落ち着かせるという役割があると思うんですけど、100点つけられるプレーではないですし。MVPっていうのは最高のものだとは思うんですけど、きょうも1-0で終われたのは、守備陣の頑張りだと思いますし。自分がゴール取ってMVPになったくらいしか考えていない。このMVPは応援団含めてチーム全員で獲ったものだと思います。チームメートには感謝したいです」。ヒーローから出てきたのは謙虚な言葉ばかり。それでも決勝ゴールは自身が長所と分析する頭脳的なプレーがもたらした千金弾だった。

 後半3分、松山北は左サイドでFW田中宏武がスルーパス。これに対して先にボールに追いついた済美DFがスライディングで蹴り出そうとした。ただ「得点する前のプレーの時にも同じSBの選手にスライディングでボール取られて。その時にスライディング多いのかなと思ったので、相打ちになるんじゃなくて一個待ったらボール当たるんじゃないかなと思ったら本当に当たったのでびっくりしています」と、村上正は先にDFに滑らせておいて、クリアしようとしたボールを狙い、それを足に引っ掛けて独走。そのままPAに侵入すると、右足で決勝ゴールを流し込んだ。

 自身の決勝点によって夢の舞台で戦う権利を獲得した。今夏にはチームメートの3年生のほとんどが受験勉強に備えて引退。3年生は4人だけになった。ただ「サッカー好きだし、自分の生活はサッカー中心に回っていると思っていて、大学でもサッカーしたいと強く思っている。一番残ると決め手となったのは、去年の選手権で初戦で負けて、高校サッカーと言ったら選手権だと思うんですけど、自分の高校サッカーをこういう形で終えたくないと思った。その時に絶対に来年残って絶対に全国に行きたいと思いました」。戦力ダウンしたチームをプレー面、精神面でも支え、決勝で大仕事。「こんなに幸せなことはない」と全国進出を喜んだ。

 今夏の全国総体では2回戦敗退。村上正は周囲を活かすようなプレーばかりで、チームが苦しい時に打開することができなかったと悔しがる。そこから全国レベルで通用するように、ステップのスピードやドリブルに磨きをかけてきた。全国に再び挑戦して今度はチームの目標であるベスト8進出のための力になること。「ここまで来れたのもグラウンドつくってくれたり、ボールボーイしてくれたり、審判の方だったり、相手もいて最高の舞台でやらせてもらったと思う。今までもそうなんですけど相手のことをリスペクトしたりとか、周りの人に感謝の気持ちを持ってやることは大事だと思うで、これからも忘れずにサッカーをやっていきたいと思います」。自身のスタンスを変えることなく取り組み続け、少しでも成長して全国舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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