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[選手権予選]意図を持った攻撃特長の佐賀東、2連覇達成:佐賀

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[11.15 全国高校選手権佐賀県予選決勝 佐賀東高 2-0 佐賀学園高 BAスタ]

 第93回全国高校サッカー選手権佐賀県予選決勝が15日、ベストアメニティスタジアムで行われた。2年連続の出場を目指す佐賀東高は新人戦王者・佐賀学園高を2-0で下し、全国への切符を手に入れた。

「試合前から相手の2トップを警戒していたのですが、最初は攻め込まれました」とCB峰泰斗主将(3年)が振り返ったように、スピードに長けたFW麻生勇人(3年)とMF三宮捷(2年)を軸に攻撃を仕掛けてきた佐賀学園を前に、佐賀東は試合序盤の主導権を掴めない。前半5分には、三宮にドリブルで切り込まれシュートを放たれたが、GK中園啓希(3年)が正面でキャッチし、ことなきを得た。しかし、これで危険を察知した佐賀東守備陣は「開始5分で2トップが危ないというのは分かったので、2人をどう止めるかをみんなで考え、囲んで奪うようにしました」という峰の言葉通りに、その後は修正。危ないシーンを作らせる場面は少なくなった。

 これで守備を安定させた佐賀東は、ボランチのMF野口雄平(3年)が最終ラインまで下がり、峰とCB西原悠晟(2年)のCBコンビとともにボールを後ろから丁寧に繋いでいく。13分にはFW川内真一(3年)の右CKを右SB田中優斗(3年)が合わせるなど、徐々に相手ゴールへと迫っていく回数が増加。すると17分、右サイドを突破した田中優がゴール前へ折り返すと、これをMF新村健太(3年)と競り合った佐賀学園GK矢野聖夏(3年)がファンブル。このこぼれ球をボランチのMF井上達貴(2年)が押し込み、佐賀東が先制点を奪った。

 これで試合の流れを掴んだ佐賀東は、追加点を奪うべく攻勢を強める。39分にはMF馬見塚祐太(2年)が左サイドから持ち込んでシュート放ち、40分にも川内が決定的なヘディングシュートを放った。

 後半に入っても、試合を優位に進めていく佐賀東であったが、佐賀学園GK矢野の好セーブを前に追加点を奪えない。2分には馬見塚のシュートからのこぼれ球を井上、5分にも左サイドを突破したFW田中翔(2年)から途中出場のMF小川幸希(2年)がシュートを放ったが、いずれもGK矢野の好セーブに阻まれた。

 攻め込みながら、得点を奪えずにいた佐賀東であったが、18分に「決勝戦とかはセットプレーも大事。そのトレーニングもやってきていましたし、そこから点を取ろうと話していたので、取れて良かったなと思います」と佐賀東・蒲原晶昭監督が振り返ったように、川内の右FKから途中出場のFW中原貴志(3年)が頭で合わせ、欲しかった追加点を良い時間帯に決めてみせた。

 その後も佐賀東はボールポッゼションを高めながら、川内を中心に攻撃を仕掛けると、守備でも峰を中心に佐賀学園の攻撃を跳ね返していく。残り時間を危なげなく守り切った佐賀東は理想的な試合運びで、昨年に続く全国大会の出場権を手に入れた。

 この日の佐賀東は、立ち上がりこそ相手の攻撃陣に苦しんだが、きっちりと試合の中で修正して見せると、蒲原監督の理想とするボールを繋ぐサッカーで、試合の主導権を握り、勝利を収めた。昨年もこのようなサッカーを理想に掲げていたが、勝利を求め、堅守速攻を選択。しかし、今年は「それぞれの良さを出しながら、ボールポッゼションしていくことをベースにチームを作ってきた。周りが見えないと意図的な攻撃はできない。たまたまじゃなくて意図を持った攻撃ができるのがうちのサッカー」(蒲原監督)というように、前線でボールを収めることのできる川内や、試合を落ち着かせることのできるダブルボランチの野口と井上など、ボールを繋ぎながら意図を持った攻撃を仕掛けられるタレントが揃った。この試合でも、攻撃の際はボランチの野口が状況に応じて最終ラインまで下がり、試合を組み立てる場面が見受けられた。そこからも、選手にもその意識が浸透していることが伺える。

 一方で「ミスからちょっとやられてもおかしくない場面を今日も作ってしまったので、分析をして全国に備えたいと思います」と、全国大会へ向けて指揮官は課題も口にしている。ボールを丁寧に繋ぐスタイルで勝負する為にも、改善点をしっかり分析することは急務だ。それでも、快勝を収めたこの決勝によって、ボールを丁寧に繋ぐ佐賀東のスタイルが全国でどこまで通用するのかが、非常に楽しみになった。
 
(取材・文 松尾祐希)
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