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[選手権予選]静岡学園が速攻スタイルで藤枝東を撃破、4年ぶり全国へ

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[11.15 全国高校選手権静岡県予選決勝 藤枝東高 0-1 静岡学園高 エコパ]

「ドリブルの静学」が速攻スタイルで全国大会出場権を獲得した。第93回全国高校サッカー選手権大会の静岡県予選は15日にエコパスタジアムで決勝戦を行い、静岡学園高が1-0で藤枝東高を下して4年ぶり11回目の全国大会出場を決めた。静岡学園は、テクニックにこだわった育成に定評があり、例年、パスワークとドリブルを併用する攻撃が特徴的なチームを作り上げる。しかし、今大会ではスピード感あふれる速攻を中心に勝ち上がってきた。川口修監督は「うちは速さが売りじゃない。本当は、頭を使って、もっとゆっくり攻めたい。まあ、でも、あれが今年の持ち味なのかなとは思う。正直、ダサい勝ち方で勝った。でも、この大会は勝利にこだわったから、僕はこの結果には満足しますけど」と自嘲したが、静岡学園は終始攻勢の展開で名門対決を制することに成功した。

 試合は、キックオフから静岡学園が攻め立てる展開となった。3-5-2システムの布陣を用い、右の中澤史伝、左の旗手怜央という両ウイングがとにかく積極的にドリブルで前へ持ち運び、敵陣に入るとサイドチェンジを交えて相手を揺さぶった。前半8分、中澤が右から個人技で2人を抜いてクロス。絶好機となったが2トップの一角に入った安原俊平のシュートはGKに防がれた。

 さらに、そのシーンで得た左CKからこぼれ球をボランチ西山大輝がアウト回転をかけたミドルシュートで狙ったが、これもGKに阻まれた。押し込む静岡学園は、前半16分に速攻で敵陣へ攻め込むと、左右に揺さぶり、中央から右前方にはたくと中澤がクロス。ファーサイドに走り込んだ安原が合わせて先制点を奪った。ユニフォームの左胸に描かれたエンブレムをつかみながら応援席に駆け寄ってガッツポーズを見せた安原は「その前にチャンスがあって外していたから、絶対に決めなければいけないと思っていた。決めた瞬間は頭の中が真っ白で、ただただスタンドに走るだけだった」と一撃にかけていた思いを語った。

 試合の流れを引き寄せる大きな先制点だった。川口監督も「良い時間帯で点を取るチームは強い。流れの中で良い崩しがあって、点が取れたのは良かった。あれをシュートミスで終わっていると、流れが変わってしまう。左右に振って突破して上げてシュート。あの場面だけを見れば、素晴らしい崩しだった」と称賛した。前半37分には追加点のチャンスもあった。静岡学園は右サイドで薩川のバックパスを受けたボランチの荒井大が、ドリブルで中へ侵入すると見せかけておいて、相手の狭間を射抜くスルーパス。リターンを受けてワンツーのような形での抜け出しに成功した薩川は、慌てて食いついた相手をかわすように中央へパス。待ち受けた本藤風太がシュートを放ち、こぼれ球を薩川がゴールへ押し込んだが、オフサイドの判定で追加点はならなかった。

 対する藤枝東は、速攻で逆襲を狙ったが、静岡学園の速いプレッシングに追いやられて苦しんだ。MF新村瑚が最終ラインに組み込まれる5バック気味の布陣で対抗しながら、ボランチの大場淳矢、右MF大石元気を経由した速攻でエースFW小谷春日までボールをつなげたいところだが、良い形を作れなかった。ハイサイドまでは持ち込むが、寄せの早い相手をかわせず、オーバーラップも機能しなかった。前半30分にFKからクロスを送ったのが前半唯一の好機だったが、MF大石元気が頭で合わせたシュートは、ゴールの枠を捉えられなかった。ハーフタイムで大石元に代えて栗原健を投入して流れを変えに行った。後半15分過ぎにはインターセプトに成功した小谷の縦パスをFW山田盛央が2人に囲まれながら反転でキープ。バックパスが通ればシュートチャンスだったが、静岡学園はDF加佐怜人が追いついて難を逃れた。

 速攻の応酬となった試合は、時間が経つにつれてよりオープンな展開となっていった。藤枝東は後半30分にMF藤原賢史を下げて長身FW松田優也を投入。すると、静岡学園も前線に負傷明けのFW名古新太郎を投入して対抗。後半31分には藤枝東の大場が直接FKで見せ場を作り、後半36分には静岡学園が名古の単独突破でシュートへ持ち込む場面を作ったが、どちらもゴールはならなかった。そして終盤、藤枝東には大きなチャンスがあったが、実らなかった。ゴール前に送ったクロスボールを松田がヘディングすると、山田らが競り合ってゴール前で混戦。ゴールライン際で宙に浮いたボールを松田が相手GKと競り、こぼれ球を押し込んだが、GKと競った際にファウルの判定となり、ゴールは認められなかった。藤枝東は、これが最後のチャンスだった。試合は1-0で静岡学園が勝利。1万2125人の観衆が見守った名門対決を制した。

 第93回全国高校サッカー選手権大会は、16日に出場48校が出そろい、17日に組み合わせ抽選会が行われる。例年、開幕戦と準決勝、決勝が国立競技場で行われてきたが、2020年東京五輪に向けた改修が行われているため、今季の開幕戦は駒沢陸上競技場、準決勝と決勝は埼玉スタジアム2002で開催される。技術力のある選手を多く輩出して「サッカー王国」と呼ばれた静岡だが、静岡学園が鹿児島実高と両校優勝を果たした1995年度の第74回大会の後は全国優勝がない。静岡学園の主将を務めるDF石渡旭は「目標は日本一。ここで喜ばずに目指していきたい」と新たな歴史を刻む挑戦にかける思いを語った。

(取材・文 平野貴也)
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