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[選手権予選]無我夢中の三鷹、鮮やか先行で優勝!!:東京A

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[11.15 全国高校選手権東京都Aブロック予選決勝 三鷹高 3-1 堀越高 味の素フィールド西が丘]

 第93回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選決勝は、開始3分で2ゴールを挙げた三鷹高が追いすがる堀越高を振り切り、7年ぶり2回目の選手権出場を決めた。
23年ぶりとなる選手権を目指した堀越は1点を返すも、涙を飲んだ。

「先制されると厳しい。立ち上がり5分で点が取れるように」というゲームプランだったと言うのは堀越の佐藤実監督。しかし、結果としてはまったく逆になってしまった。キックオフ後間もない2分、FKからのクリアミスを拾った三鷹MF河内健哉(3年)が振り向きざまのシュートを決めて先制。「最初の10分は相手を知る時間。その中で1点取れれば……と思っていましたが」という三鷹・佐々木雅規監督にすれば願ってもない展開となった。

 予想外の幕開けはさらに試合を動かす。先制ゴールから1分後、ゴール前へ再び河内が進出した三鷹は、競った後のこぼれ球をMF堀田将弘(3年)が押し込んで2点目。「立ち上がりに失点が2つ続いたことでペースを戻すのが苦しくなってしまった」(佐藤監督)堀越ではあるが、その後徐々に本来の姿を取り戻す。28分にはチームの大黒柱・MF石上輝(3年)がミスからのボールをフリーでシュートしポストに当てた。しかし三鷹は攻勢にさらされながらも、一瞬の隙を逃さない。31分、左SB安田航(3年)が奪ったボールを持ちイッキにカットイン。意外性のあるミドルシュートを決め、3本のシュートで3点リードを奪う。

 後のなくなった堀越は、34分にFW小磯雄大(1年)を早々に投入。縦の関係だった2トップを横に並べ前線へ人数をかける。ポイントは後半の入りだった。MF橋本拓巳(3年)を投入しさらに攻勢を強める堀越。3点のリードを持ち受けて立つ三鷹。「三鷹はディフェンスが安定している。どのチームもその壁を破れなかったからここまで勝ち上がってきているわけなので。ちゃんとついてくるマークをいかにはがすかがポイントだった」(佐藤監督)。その狙いがハマったのが後半10分だ。FW新井慎汰(2年)のポストプレーから小磯がフリーでボールを持つ。冷静に決めて1点を返した。

 堀越がこの後も流れに乗って点を取れるか。三鷹が守るのか。
「前半は前に前にボールを入れて攻撃が単発だった。後半は落ち着いてつなぎ、ゴール前に圧力をかけるように指示した」(佐藤監督)
「1失点後は落ち着いてはねかえしてディフェンスすることを再確認した」(佐々木監督)
 両チームの駆け引きは結局、三鷹に軍配があがる。その後スコアは動かずにタイムアップ――。

「ここまで来るとは信じられない。まずは西が丘へ行くことを目標にし、西が丘(準決勝)で勝ってから全国へ行くことを目標にしました」という佐々木監督。「今日も勝てるとは思わなかった」と正直に振り返る。それだけ無我夢中で駆け抜けた予選だった。今回の優勝劇には「見えない力」が働いたというが、「自分たちで話し合って改善できることが強み」であり「そして徹底してできることが伝統になっている」と話す。つまり、両方をかけあわせると「話し合いを徹底できる」。飛び抜けた選手はいない。フィジカルも強いわけではない。ではなぜ優勝できたのか。それは1試合をトータルコーディネートできるチーム力にある。少ないチャンスを決める決定力。11人の組織で守るディフェンス。そして3点目に代表されるように緩急をつける。時間の使い方を含め、最終的に相手に上回らせないために自分たちがなにをすべきか、を最優先に動けている。

 ほとんどのチームは「話し合い」をしている。だがその内容をどこまで突き詰め、実戦にフィードバックできるか――。勝てずに悩んでいる多くのチームにとって「お手本」になりそうな“素晴らしき”弱者の兵法をひっさげ、三鷹が再び全国の舞台へ戻ってくる。

(取材・文 伊藤亮)
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