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[MOM1222]履正社FW牧野寛太(2年)_大阪制覇導いた“浪速のリベリ”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.15 全国高校選手権大阪府予選決勝 履正社高 2-1(延長)阪南大高 キンチョウ]

「ゴールに対する意欲が出てきた。僕のイメージでは、ゴール前だけでなく縦にも突破できる元フランス代表のリベリ(独・バイエルン)みたいな選手になれると思う」。履正社高の平野直樹監督がヨーロッパのスター選手を引きあいに出すのがFW牧野寛太(2年)だ。2年生ながらも10番を託された彼が期待通り、全得点に絡む活躍を見せ、チームを2年連続となる全国の舞台へと導いた。

 見せ場はまず、前半20分に訪れた。右サイドからのパスを中央で待ち構え、来た瞬間にダイレクトで右へ展開。開いて受けたMF田中駿汰からの折り返しを再び、はたいてPAに走り込むとFW林大地からのパスが足下に転がり込んだ。GKを冷静に見極め、放ったシュートは相手に当たりながらも右隅のゴールネットを揺らして先制に成功。「履正社らしい崩しが見せられた」と笑みを浮かべた一撃でチームを勢いに乗せた。その後も3トップの左に位置しながら、中央の林と状況を見ながら自在にポジションチェンジを繰り返し、攻撃の起点に。中央では周囲を活かすパスとポストプレー、左ではゴール前に切れ込むドリブルや、キープから左SB小川明の上がりを引き出すなどハツラツとしたプレーを見せた。

 後半12分に失点を許し、勝負の行方は延長戦へと持ち越されたが、ここでもエースとしての存在感を発揮した。延長前半7分、後方からのクサビのパスをエリア中央で受けると、左サイドのスペースにスルーパスを展開。このボールに反応した途中出場のFW瀧本高志がゴール前にグラウンダーのクロスを入れると、反対サイドのMF角野光志朗が押し込んだ。2得点に絡む活躍でチームを選手県に導いた牧野は「中盤ではシンプルにと言われているのに失う場面があった」と反省を口にしながらも、「点が獲れたので良かった」と安堵の表情を見せた。

 1年生ながらも、主力として挑んだ昨年の選手権では初出場ながらもとんとん拍子でベスト8まで進出。国立行きを賭けた四日市中央工高(三重)戦も1点をリードしながら、残り1分で同点にされ、「ああいう終わり方で悔いが残った」とPK戦で涙を飲んだ。当時のスタメンが9人も残る今季はリベンジを誓ったが、4月のプリンスリーグ関西では黒星が先行。自身も腰を負傷し、試合に出ることができないなど不甲斐無い時期を過ごした。迎えた総体予選もスタンドからチームメイトを応援することに。「見ていて内容がぬるいし、何してんねん!と思った。自分が出ていればもっとチームを勝たせることができるのにという気持ちだった」と初戦の大塚高戦で敗れたチームとともにピッチに立つことができない自分に苛立ちを感じたという。

 総体予選終わりに復帰してからはプリンスリーグで負けなしを継続中。選手権予選でも5試合で15得点を奪うなど、勢いに乗る履正社の中心にいるのは紛れもなく牧野だった。これまでは上手さが先行する選手だったが、「キック精度にも自信があるし、練習から良く入っている」とシュートへの意識が高まり、相手にとって怖い選手へと変貌を遂げた。加えて、「昨年は大きな舞台で緊張して、何もできなかったけど、今年は緊張しないようになったおかげでボールに絡む回数が増えてきた」とタフさも身につけつつある。自らの活躍で掴んだ2度目の全国大会では自身の成長を示すとともに昨年以上のチーム成績を目指すつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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