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1失点を悔やむ麻也「僕らにはまだまだ甘さがある」

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[11.18 キリンチャレンジ杯 日本2-1オーストラリア ヤンマー]

「残り2分で失点する必要はなかった。結果には全然満足していない。ガッカリしている」

 アジア杯のライバルであるオーストラリアに対して2-1の勝利を収めながらも、DF吉田麻也(サウサンプトン)は険しい表情で言葉をつないでいった。

「クロスを簡単に上げさせないこと、そしてボックスからなるべく外に出ること。それはミーティングでも言われていたことだったのだが……」。試合終了間際の失点がいかにも悔しかったというように、吉田は宙を見つめながら言った。

 もちろん収穫もある。前半は相手の両サイドが中に絞り、アンカーのMF長谷部誠が両サイドのスペースでボールを受け、DFラインでドリブルに対応するという場面が何度もあった。押し込まれて危険な時間が続きながらも、どうにかしのいでいた前半35分頃。アギーレ監督からボランチを2枚にするように指示が来た。

「ハセさん(長谷部)になるべく真ん中にいてくれと話をしていたけど、なかなか1人で2つをカバーできなくなってきていた。そのときに監督から2ボランチにすると言われたので、すごく効果的なシステム変更だったと思う」

 試合の中でスムーズに対応できたのは、11月シリーズのメンバーの多くがザックジャパン時代からのチームメイトであることが大きい。その中でも吉田が指摘したのは“2人のベテラン”。「自分たちの経験値というより、2人のボランチの、ですね」と、長谷部とMF遠藤保仁に感謝した。

 アジア杯前哨戦は2-1という結果だったが、今回はあくまで親善試合。重要なのはアジア杯で当たった際にどう生かすかだ。

「オーストラリアは世代交代に伴ってサッカーも大きく変えていこうとしているのだと思う。今日はロングボールも全然蹴ってこなかったし、中盤にもボールを扱える選手が多く、後ろの選手もビルドアップにトライしようとしていた」

 そして、最後の切り札的として「ケーヒル」というオプションがいるということを改めて認識できたことも大きい。吉田の口からは「DFとしては最後の(蹴ってくるやり方の)ほうが怖い」という本音も出た。

「今日の試合でも分かるように、僕らにはまだまだ甘さがある。本当に勝つチームはああいうイージーなミスをしない。本当に強いチームになるためにはこういう甘さはなくしていかないといけない」。勝ったときに見つかる課題は貴重なもの。ディフェンスリーダーは表情をきりりと引き締めた。

(取材・文 矢内由美子)

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