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「敗戦は良いお灸」とポジティブなGK山岸。浦和にエールも

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[11.23 J2第42節 山形1-2東京V NDスタ]

 前半9分に先制されたものの2分後に追いつき、その後はハイプレスとコンパクトな陣形から多くのチャンスをつくったモンテディオ山形だが、最後の最後に手痛い失点を喫してしまった。

 前節にJ2残留を決めていた20位の東京Vに1-2で敗戦。ホーム最終戦に集まった1万3344人のサポーターに勝利をプレゼントすることができず、石崎信弘監督は「決定力不足とイージーなミスからの失点が1年間を通じての課題だったが、今日もそれが出てしまった」と敗因を語った。

 とはいえ、前節までの3連勝がものを言い、最終的には6位をキープした。26日の天皇杯準決勝・千葉戦を挟んで、30日に行われるジュビロ磐田とのJ1昇格プレーオフ準決勝へ向け、ポジティブな言葉を連発したのがGK山岸範宏だ。

「負けたことは当然悔しい。ただ、4連勝してイケイケドンドンの雰囲気で天皇杯やプレーオフに入るよりは、今日はお灸を据えられたとポジティブに捉えたい。この敗戦を力にしてチームがもう一度足元を見て準備をしていきたい」と口元を引き締める。
 
 6月に浦和から期限付きで移籍加入した。山形に来た当初のチームの印象は「トレーニングのとき、ピッチ上でお互いに要求し合うことがあまり得意ではないのかなということ。自分が経験したことを伝えて、たくましく勝てるチームになりたいと思った」

 すると成績は徐々に上向いた。山岸が加入する前の山形は6勝7分5敗と勝ち切れない試合が多く、12位に低迷していたが、加入後は12勝3分9敗で最終的に6位まで順位を上げた。

 数字だけではない。無形の効果もあった。山岸は浦和が06年にリーグ制覇を果たしたときの守護神。経験豊富で意欲も満々な山岸の加入はチームに良い緊張感を生んだ。ただし、これでもまだ山岸は満足していない。

 この日は立ち上がりから全体的に動きが硬く、最後尾から見ていた山岸は「相手の方がアグレッシブだった」と感じていた。「自分たちは天皇杯にしても、プレーオフにしても失うものはない。だからどんどんチャレンジしていかなければいけない」と、チームメイトにさらに発破をかけながら、「この後もチームとしてチャレンジの姿勢を持って、3週間後の天皇杯決勝まで準備をしていくことが大事」と強調する。

 期限付き移籍ということで今も籍は浦和にある。「ガンバ戦はテレビで見た。ホームで決めたかったという思いが強かったと思うが、一緒にやってきた仲間である彼らは、必ず次、あるいはホーム最終節で決めてくれると信じている」。山形のJ1昇格とともに、浦和の優勝を願い、エールを送った。

(取材・文 矢内由美子)

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