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[早スポ]長いトンネル抜け出せず、屈辱の終幕

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[早稲田スポーツ ゲキサカ版]

 優勝の可能性はなくなった。だが、慶大に負けたくないという気持ちは揺るがない。関東大学リーグ戦(リーグ戦)はついに最終節。早稲田(ワセダ)は公式戦では慶大に9連勝中。だが、勝てば全日本大学選手権(インカレ)出場の望みが残る慶大が執念を見せる。後半開始直後にミドルレンジから豪快な一撃を浴び失点。1点のビハインドは最後まで重くのしかかった。0-1で屈辱の敗戦。3年半、守ってきた歴史が塗り替えられた。

 プレーオフへは勝ち点3が絶対条件の慶大。失点は致命傷となるため、DFを5枚並べて厚いブロックを形成する守備的な戦術を採用してきた。1トップのFW山本哲平を中心に、ロングカウンターからの得点を狙う。前半は気持ちの強さを示すかのような激しいボールの奪い合いが展開された。自陣で引いて守る慶大に対し、ワセダは前線のスペースへ積極的にパスを配給。8分にはFW山内寛史(2年=国学院久我山高)が右足でミドルシュートを放ち、相手のDFラインを押し上げにかかる。21分には山内のパスに抜け出したFW上形洋介(4年=早稲田実高)が倒され、FKを獲得。しかしシュートには結びつかず。セットプレーをうまく生かせない。それでも個の粘りで慶大の攻撃をなんとか切り抜け、両チーム無得点で前半を終えた。

 誰もがゴールネットを揺らしたと確信したその瞬間、歓声がため息へと変わった。後半開始直後、エネルギーを高めてきた慶大が主導権を握る。50分、PA付近でクリアボールをカットするとこれに対するプレッシャーが甘くなる。この隙を勝利に飢える荒鷲が黙って見過ごすはずはなかった。FW増田湧介主将が浮き球のパスに反応すると、右足を一閃。鋭い弾道でボールはバーを直撃し、そのままゴールラインを割る。痛恨の先制点だった。1点を追うワセダは88分。エリア内でクロスを受けたDF}}八角大智}}(3年=流通経済大柏高)がマイナス方向に折り返すと、MF園田慎一郎(4年=早稲田実高)が足で押し込み試合を振り出しに戻した、かに思えた。だが、判定はまさかのオフサイド。一転して窮地に追い込まれる。それでも諦めずにゴールへのベクトルを強めたが、最後まで慶大の堅い守備網を破れずタイムアップ。

 慶大戦は2011年(平23)の早慶定期戦以来の黒星。積み上げてきた連勝記録も途切れてしまった。創部90周年という節目の年のリーグ戦を4位で終えたワセダ。「上位に対してはプレーの質、判断の精度で届かなかったというのがいまの現状」と古賀聡監督(平4卒=早稲田実高)が語るように、ここ5戦の上位との対戦は1分4敗。優勝が見えていただけに、勝負弱さが目立った。残す大会はインカレのみ。結果を残せなかったエンジの戦士たちは、最後に何を残すのか。「このままじゃ終われない」(上形)。

(記事 市川祐樹、写真 新庄佳恵、辛嶋寛文)

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