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AT決勝ヘッドの山形GK山岸「人生で初めてだった」

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[11.30 J1昇格PO準決勝 磐田1-2山形 ヤマハ]

 絶望的な状況だった。引き分けでもプレーオフ準決勝で敗退となるモンテディオ山形だったが、スコアは1-1のまま試合終盤を迎えていた。アディショナルタイムにCKを得ると、好セーブを連発して最少失点に抑えていたGK山岸範宏は、ゴール前に攻め上がって行った。

 ボールを置いたDF石川竜也は「前日に浦和がアディショナルタイムに追い付かれる試合があって。ああいうことが、こういう緊迫した試合になればなるほど、起こりやすいとは思っていました。蹴る前は、そこまで思い出しませんでしたが、とにかく『決まってくれ』という想いでボールを蹴りました」と振り返る。

 その想いを受けたのが、GK山岸だった。「とにかくドローでは我々が敗退という状況だったので。残り時間でチームの勝利のために何ができるか、その想いだけで、何も考えずにゴール前に行きました」と話す。

 ニアサイドに走り込むと、石川からのボールが届いた。「ニアに飛び込んでいこうと思っていたんですけど……。とにかくスラして、コースを変えれば何かが起こると思っていました。それでボールに触った結果、まさかゴールに吸い込まれていくとは思わなかった」。

 そう山岸が振り返る通り、背番号31が頭で捉えたボールは、サイドネットに収まった。「決まった瞬間は分からなかったんです。ボールがゴールの中で静止したときに、みんなに押しつぶされて。そのときに『あ、入ったんだ』と思いました」。

 Jリーグにおいて、GKのゴールは過去7例目。ヘディングでのゴールは初だ。もちろん、山岸にとっても初ゴール。「人生で初めてのことだったので。本当は、ゴールを決めた後に走っていたらカッコ良かったんでしょうけど、ただただうつ伏せになっているだけでした」と、笑顔を見せた。

 喜びを爆発させても不思議ではない状況だ。しかし、FW顔負けの決勝ゴールを挙げたGKは、冷静に務めた。「今シーズンのチームの大事な一戦。昇格に向けて、一つのステップになる試合で、まさか自分のゴールで決勝に行けるとは思いませんでした。次への本当に大事な一戦になって驚きと喜びがありますが、次への戒めでもあります。浮かれないことが、大事です。コメントがつまらないかもしれませんが、僕自身、何かを手にするまで浮かれたくないので。まず浮かれずに、いつも通りの準備をして、プレーオフ決勝に進みたいです。次で勝利しないと、今日の勝利も意味がなくなってしまうので。なんとしても千葉に勝って、そこで一息ついて、喜びたいと思います」と、7日のプレーオフ決勝に集中した。
(取材・文 河合拓)
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