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4度目のW杯出場を目指すGK川原「他の人にはできない挑戦」

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 2014/15シーズンの開幕前に、フットサル日本代表GK川原永光は、名古屋オーシャンズからアグレミーナ浜松に移籍した。国内唯一のプロクラブである名古屋が、世代交代に踏み切ったことも要因の一つだったが、2002年からフットサル日本代表の正GKを務めてきた男は、まだまだ代表における正GKのポジションを譲るつもりはない。

 現在、川原の所属する浜松はリーグ戦で最下位に沈んでいる。だが、川原自身のパフォーマンスが悪いわけではなく、本人も「チームはチーム、代表は代表と割り切っているし、自分の挑戦だと思っているので」と言う。

「代表に残り続ける。やっぱりそれが自分にできて、他の人にはできない挑戦なのかなと思うし、いろんな先輩に『初めてW杯の出場権を獲ったときのメンバーから、一人だけ残っているんだから、4大会目も狙え』って言ってもらって、応援もしてもらっているから。今まで引っ張って来てくれた人たちの後に、自分が引っ張っていかないといけないという責任感もある。このチームは若手が頑張ってくれるから、自分もチームのプラスになることだけを考えて取り組めるし、それを考えて監督も選んでくれているのかなと思う」

 昨シーズン、キャリアで初の大ケガに見舞われた川原は、今年5月のアジア選手権も万全の状態では臨めなかった。12年に渡って主要な国際大会で日本のゴールを守り続けて来たベテランは、グループリーグ第3戦目以降でピッチに立つことはなかった。当時のことを、「(アジア選手権は)ケガから1年も経っていなかったし、本当の意味で『復帰』っていうところまでいっていなかった。自分では『やれる』っていう自信があるのに、足がついてこなかったり、ゲーム勘もあるのに、体が違う方向に行ったりした」と明かし、「今は、感覚も取り戻したし、代表のやり方に合わせるだけ」と、ポジション争いにも自信を見せる。

 その根拠になっているのが、Fリーグ・浜松でのプレーだ。「最下位のチームから選ばれていると言われるのは、本意ではない」と言う川原は、Fリーグ王者である名古屋から浜松に移籍したことが、代表における自身のプレーに良い作用をもたらすと感じている。

「浜松への移籍は、次のW杯を見据えてというわけではないけれど、日本代表も世界トップレベルのチームと試合をすれば、シュートを打たれる回数は多い。それは前回のW杯のときも思ったし、自分の精神面を1試合1試合、いかにコントロールするかが必要だなと思った。そういう意味では、浜松でのプレーが良い予行練習にもなっているし、今はとにかくフットサルが楽しい」

 これまでライバル不在だった日本代表でも、GK藤原潤(バルドラール浦安)、GK関口優志(エスポラーダ北海道)らが台頭してきた。クラブ、代表と自身を取り巻く環境が変わっていく中で、11月24日に36歳になったベテランは、かつてない心地良さと充実感を感じている。

(取材・文 河合拓)

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