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八百長問題、今後の展開は?アギーレ監督はアジア杯への影響を否定

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 日本サッカー協会(JFA)は4日、八百長疑惑が報じられている日本代表のハビエル・アギーレ監督を事情聴取し、日本サッカー協会理事で法務委員長を務める三好豊弁護士が同日夜に記者会見を行った。

 この日、欧州組の視察を終えて再来日したアギーレ監督を都内でヒアリングした三好弁護士は「我々もスペインの刑事手続きについては精通していない。スペインの弁護士にも依頼して、情報収集をしているところ」と前置きしたうえで、今後、可能性として考えられる展開について説明した。

「スペインの刑事手続きは、日本と随分異なっていて、今は予備的な捜査、予備的な手続きにある状況。検察当局が告訴すると、本格的な捜査が始まる。本格的な捜査が始まり、十分な嫌疑があった場合、起訴される。起訴となれば、公判となる」

 三好弁護士は「今は本格的な捜査が始まっている状況ではないということ」と重ねて繰り返し、「告訴は本格的な捜査を始めるための行為になるので、必ずしも告訴があったからといって、八百長にコミットしていたことにはならないと思う。告訴は捜査開始のためのアクション。本格的な捜査がなされた結果、起訴されるかどうかが一つのポイントになるのかなと思う」と語った。

 起訴となれば、十分な嫌疑があるとスペイン当局に判断されたことになる。会見では、たとえ起訴を見送られたとしても、疑惑が降りかかっている時点で道義的な責任があるのではないかという質問もあったが、三好弁護士は「法務委員長の立場としてこの会見に臨んでいるので、道義的な責任についてコメントする立場にはない」と話すにとどめた。

 告訴された場合には、「本格的な捜査」の一環としてアギーレ監督自身が裁判に出廷し、証言をする必要が生じる。指揮官が自身の担当弁護士の話として三好弁護士に伝えたところによると、供述する機会は一回のみで、来年2月に行われる可能性もあるという。

「JFAとして裏付けを取ったわけではなく、あくまでアギーレ監督の弁護士の説明」(三好弁護士)ではあるが、アギーレ監督は来年1月に開催されるアジア杯への影響を否定した格好だ。「2月に一度、供述する必要が出てくるというだけで、2月だから支障がないと言っていた」。たとえ告訴されても、来年1月にアジア杯を控えるアギーレ監督側の事情も考慮され、「業務に支障がない形で事情聴取に応じることができる」というのが、アギーレ監督サイドの説明だったようだ。

 一方で三好弁護士は「私としてもそのまま額面どおりに受け止めているわけでは必ずしもない」と指摘。「どういう状況になるか考えて動かないといけない。監督業務へ支障が生じることになれば大変なこと。そういうことがあるのかどうか、しっかりと見極めないといけない」と、今後も引き続き事態の推移を慎重に見極める必要性を訴えた。

 告訴され、本格的な捜査が始まり、十分な嫌疑があるとして起訴された場合、判決が出るまでの期間についてアギーレ監督サイドからは「1年」という話もあったという。三好弁護士は「今回、対象となっている八百長に関しては、2010年にスペインの刑法が改正され、今回が初めてのケース。新しい法律に基づく告訴、裁判が始まる初めての例になるので、判決が出るまでどれだけの期間がかかるのか。情報収集しているが、確認は取れていない」と語った。

 三好弁護士によると、スペインの刑法では、有罪となった場合、6か月から4年の懲役が定められているという。「ただ、6か月以内であれば、日本で言うところの執行猶予的な処置もあると聞いている」と説明した。

(取材・文 西山紘平)

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