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奇跡のGK山岸がナイスセーブ連発!ついに「山の神」の称号得る

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[12.7 J1昇格PO決勝 千葉0-1山形 味スタ]

 4年ぶりJ1昇格の立役者はまたしてもこの男だった。モンテディオ山形GK山岸範宏が千葉を相手に1-0の完封勝利。「勝因は全員がハードワークをして、無失点で踏ん張れたこと」と胸を張った。

 前半は的確なポジショニングでゴール前に立ちはだかり、威圧感たっぷりに千葉のシュートを枠外へと押しやった。1点リードで折り返した後半は、引き分けでも昇格が決まる千葉が1点を取りに攻勢を強めたが、最後尾からの大きな声でチームメイトを鼓舞。フィールドプレーヤーたちは3枚の警告を受けながらも、局面で体を張る守りでピンチを極力つぶした。

 そして、防戦一方となった終盤こそ、山岸の真骨頂だった。ポジションに関係なく束になってゴール前へ押し寄せる千葉に対し、後半33分にはMF谷澤達也のシュートを横っ飛びセーブ。終了間際にはFWケンペスが強烈なシュートを打ったが、これまたセーブ。神がかり的なシュートストップに、スタンドを青く染めた山形サポーターから「凄い!」「神だ!」の声が飛んだ。

 11月30日のプレーオフ準決勝磐田戦。1-1で迎えた後半アディショナルタイムのCKで勝ち越しのヘディングゴールを決め、一躍時の人となった。GKがCKから得点を決めたのはJリーグ史上初。この日の千葉戦ではテレビの実況で「モンテディオ」の語源である「山の神」の称号までつけられた。スタンドには3万5504人の大観衆。試合を主催するJリーグの村井満チェアマンは、「山岸のゴールの後、チケットの売れ行きが良くなった」と、両チームサポーター以外にも訴求効果があったことを明かした。興行主にとっても「神」だった。

 けれども、山岸自身はそっけない。「神じゃない。僕は山形に拾ってもらった形で、浦和から来た。自分のキャリアを甦らせるきっかけをくれたモンテディオ山形といういうクラブに、少しだけ恩返しできた。でもまだ本当に少しだけ」

 口元を引き締めて見据えるすぐ先にあるのは、13日の天皇杯決勝G大阪戦だ。勝てばタイトル獲得はもちろんのこと、来季のACL出場が待っている。

「クラブがこの先発展していくため、一歩ずつ成長していくためには、昇格を決めたからと言って満足していてはいけない。それでは新たな歴史は作れない。常に上を目指していくために、より厳しく、質の高いものを求めていく必要がある」

 守護神の表情には、チームの未来、クラブの未来を守りたいという思いが浮かんでいるようだった。

(取材・文 矢内由美子)
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