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柳沢“現役ラストシーズン最終試合”は赤ユニで2ゴール

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[12.14 チャリティーマッチ 東北ドリームス12-8JAPANスターズ ユアスタ]

 今シーズン限りでの現役引退を発表したFW柳沢敦(仙台)がホームスタジアムでもあるユアスタで最後の勇姿を披露した。最も長くプレーした鹿島時代と同じ赤いユニフォームに身を包み、背番号は在籍した全5クラブ(鹿島、サンプドリア、メッシーナ、京都、仙台)で付けていた「13」。東北ドリームスの一員として先発出場し、随所に“らしい”プレーを見せた。

 最初に柳沢らしさが出たのは前半2分。ポストプレーからの巧みな落としでチャンスの起点になった。パスの巧さに定評のあった13番らしいプレーだった。

 前半12分のヘディングシュートは枠外だったが、同15分にPA内から待望のチーム1点目を決めると、その後は鋭い動き出しからDFラインの裏を取ったり、味方のスペースをつくったりという真骨頂のプレーを連発。“テレビで見るより生で見たほうが断然良さの伝わる選手”としての本領を発揮した。

 いったんはベンチに下がったが、後半にも再登場。後半35分にはDFラインの裏へ抜け出し、GKをかわしながら自身2得点目を決めた。

 やさしい性格でチームメイトからもファンからも愛され、リスペクトされた。驚くのは、ライバルチームの選手からも愛されたこと。Jリーグ最終節の広島戦では、広島の選手から胴上げされたのに続き、この日は東北ドリームスの全選手から胴上げ。同じく引退するDF中田浩二(鹿島)も後半アディショナルタイムにゴールを決めた際に胴上げされており、ともに宙で笑顔を見せた。

 11年、京都から仙台に移籍し、Jリーグ開幕直後に東日本大震災が起きた。「僕が仙台に来てから震災が起きてこういう活動が始まったので、いろいろな思いがある。来年も続けられるように少しでも協力していきたい。今日は今までにない感じのサッカーで楽しかったし、鹿島での思い出がよみがえった。京都や仙台での仲間もいて、幸せな時間を過ごせた」と最後までやさしげな笑みを振りまいた。

(取材・文 矢内由美子)

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