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[プレミアリーグチャンピオンシップ]ビルドアップに手間取った柏U-18、テンポ上がらず苦杯

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[12.14 高円宮杯チャンピオンシップ 柏U-18 0-1 C大阪U-18 埼玉]

 パスワークに自信があるからこそ、完敗を認めざるを得なかった。プレミアリーグEAST王者として高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 チャンピオンシップに臨んだ柏レイソルU-18は、WEST王者のC大阪U-18を相手に攻めあぐね、セットプレーから失点を喫して0-1で敗れた。

 当然、敗戦は悔しい。しかし、もしかするとそれ以上に、内容面に不満を残した一戦だったかもしれない。柏は、ジュニアから一貫してパスワークを重視した育成を行っている。試合の立ち上がりに相手の2トップがCBにプレッシャーをかけて来た場面では慌てたが、前半30分を過ぎると持ち前のポゼッションサッカーを発揮した。縦や対角線のロングパスで相手守備ラインの背後を狙い、プレスが緩んだと見るやショートパスで攻撃を組み立てた。

 中盤でアンカーの手塚康平が巧みにパスを引き出し、さらに1列前では右MF会津雄生がタイミングの良い鋭い切り返しで相手のマークを振り切り、パスを受けるとフリックなどでスピードを上げながら切り崩しを狙った。前半の終了間際、会津の引き出しからFW大島康樹へ預け、右サイドに出たMF麦倉捺木がクロス。これをファーサイドへ抜けた大島が折り返し、会津がフィニッシュを狙うという相手を振り回す攻撃は、築き上げて来たスタイルの象徴的なシーンだった。ボールを動かし、人が動き、相手に触れることなくゴールを陥れる理想の攻撃だ。

 ところが、明白に優位に立った時間は、わずか15分ほどだった。後半に入ると、C大阪が再びプレスを加速。柏は失点を喫してリズムを崩し、苦しんだ。DF中山雄太主将は「プレミアリーグEASTでも、流経大柏などは前からプレスをかけてくる。でも、今日は(プレスを逆利用する)ロングパスの精度が悪くて相手のGKに取られたりしていた。いつも通りにできなかった理由は、練習が足りなかったから。雰囲気が……というのは、言い訳にしかならないと思う」と攻撃の精度不足を指摘した。苦戦の最たる象徴は、下平隆宏監督が「相手のプレスは確かに迫力があったし、激しかった。でも(パスワークで相手のマークを)離せないほどではない。トップチームと練習試合もやっているし、トップと比べてどうなのか、落ち着いてやればできると言った。ビルドアップに手間と時間がかかり、疲労もあってフィニッシュのところにパワーを持っていけなかった」と話したように、同世代との対戦では滅多に見られない、ハーフウェーラインを越えるのに苦労したことだった。

 味方からパスを引き出していた会津は「90分を通して自分たちの納得いくプレーはできなかったので、実力で負けたという結果だと思う。相手のプレスが速くて、良い形で中盤から前に入らなかった。中盤にもう少し良い形で入れば、自分たちも前に前にと行けたのかなと思う。ブロックを作られるのもすごく嫌だけど、ここまで前線からプレスに来るチームはあまりない。最後までやり切るC大阪はすごいと思った」とテンポアップをさせてもらえなかった展開を認め、相手を称えた。磨いてきたサッカーの価値を知らしめるチャンスだっただけに、その真価を発揮できなかった敗戦は辛い。しかし、相手がうなるパスワークを見せたのも事実。柏のボール保持が長い分、C大阪は思うようにチャンスを作り出せなかったことも間違いない。基本方針が間違っているわけではないだろう。日本一まであと一歩。足りなかったものを探すことで、次のレベルアップに進めるはずだ。

(取材・文 平野貴也)
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