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アギーレらの八百長疑惑にスペイン人記者 「有罪確定は難しいのでは」

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『GOAL』スペイン版に聞く

 日本代表が、思わぬ形で揺れている。ハビエル・アギーレ監督がかつて八百長に関わったとして、スペインの検察に告発されたのだ。日本代表の今後を大きく変えかねない事態について、スペインでの現状と展開の見通しを、『GOAL』スペイン版副編集長のルイス・エレーラに聞いた。

 アギーレ監督がリーガ・エスパニョーラで率いていた当時のサラゴサが、1部リーグ残留のために相手チームにカネを渡して勝敗を左右したとされる八百長疑惑で、スペイン検察は告発に動いた。今月末には合宿を開始し、年明けにはアジアカップに臨む日本代表に突然降りかかった、大きな問題だ。

 告発が受理されれば、アギーレ監督の進退問題に直結しかねない。現状は進捗状況を見詰めるばかりだが、スペインではどう受け止められているのだろうか。

 『GOAL』スペイン版副編集長は、こう話をスタートさせた。

「この話を始めるにあたり、悲しい現実がある。八百長は毎シーズン、最終節には疑惑が浮上するものなんだ。ただし、決して証明はされないけれど」

 まずは、八百長に対するスペインの考え方を知るべきかもしれない。

「残留を争うチームと何も懸かっていないチームとの間で多くの八百長があることを、一般のファンやメディアはほとんど疑ってはいない。受け入れられてはいないが、ファンやメディア、当局からは『寛容されてきた』という状況なんだ。フットボールの『文化の一部』ということだね。公にそうだと話す人は誰もいないだろうけれど、疑惑の目を向けられている試合の物語は、たくさんあるんだ」

 そういう土壌があるだけに、メディアも腰が重いようだ。

「メディアが今後の予想をするのは難しい状況だ。何しろ、八百長に対する告発が行われたのは初めてのことで、裁判が決着するまで通常は長い時間がかかる」

「メディアとファンの多くは、もちろん容疑は事実だろうと思っている。だが、一般的にスペインのメディアはこの問題についてとても慎重で、告発の進捗状況と、容疑がかけられた人々のコメントを報じることにだけ集中している」

 では、アギーレ監督はどのように扱われているのだろうか。

「個々を見ると、より焦点を当てられているのは関わったとされた選手たちだ。中でも現アトレティコ・マドリーのキャプテンであり、当時のサラゴサでも主将を務めていたガビが注目されている。本人は、当時の会長に振り込まれた金は返したと話している」

「ハビエル・アギーレの名前も、いくつかの報道の中で言及されている。だが、現在はリーガにはいないため、この経緯が彼と日本での仕事にどんな影響を及ぼし得るかについては、あまり注意が払われてはいない」

 今後の見通しについては、こう語った。

「この件で私が知る限り、少なくとも全員が否定し続ける限りは、選手たちが有罪になるとは考えにくいと思う」

「レバンテの選手たちの明らかな“無気力プレー”の映像の証拠がない限り、検察が勝訴するのはとても難しいのではないだろうか」

 起訴されれば、事情聴取などもあり、日本側の対応も迫られることになるだろう。今後の推移が注目される。

 “寛容”な国で話はうやむやに終わるのか、その時、日本サッカー協会はどう反応するのか。サッカーやスポーツ、さらには「文化」に関わることでもあり、一筋縄では行かない問題である。
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