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[大学選手権]まぶた裂傷のMF松下が先制弾も逆転負け、阪南大指揮官「あそこで呉屋を空けるとは…」

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[12.18 大学選手権準決勝 関学大2-1阪南大 味フィ西]

 悲願の決勝進出を目指した阪南大(関西1)だったが、あと一歩が届かなかった。前半2分に先制するも、後半は関西学院大に2点を奪われての逆転負け。関西勢同士の対戦となり、今季4度目となった対戦カード。関西学生リーグでは2戦引き分け(2-2、4-4)、5月末に行われた関西選手権では関西学院を2-1で下した阪南大だったが、初のファイナル進出がかかったこの日、勝利はならなかった。

 試合後、阪南大の須佐徹太郎監督は「ミスが失点になったというのが悔しい」と表情を曇らせた。前半2分、左CKから相手のクリアを拾ったMF松下佳貴(3年=松山工高)が左足ボレーを決めて先制。準々決勝・早稲田大戦で左まぶたに裂傷を負ったMFが痛々しい姿ながら、「立ち上がりは思い切りいこう」という心意気でゴールを奪った。

 その後の展開を松下は「すぐに点が取れて、前半は良かった。だが後半に相手がシンプルにきたところをつかみきれずに主導権を渡してしまった。1点を守りきるというか、自分たちのペースで試合を進めることができていれば、勝つことができた試合。シンプルに前に蹴りすぎた」と振り返る。

 先制した阪南大だが、後半の失点シーンはいずれもFW呉屋大翔(3年=流通経済大柏高)が絡む形でやられた。今季対戦した3試合で呉屋に6得点を奪われていることから、阪南大は「関学や呉屋にいいイメージがない分、勝ちたい気持ちは強かった」という。その思いをピッチで体現すべく、この日の阪南大守備陣は奮闘。関西学院大のサイド攻撃をいなし、前半を1-0で折り返したのだ。

 しかし、失点の場面はまさに一瞬の隙を突かれた。1-0で迎えた後半27分には、MF小幡元輝(4年=名古屋U18)の左クロスからフリーとなった呉屋がヘディングシュート。同42分にはセンターサークル付近でボールを受けた呉屋が前線へ絶妙なスルーパス。抜け出たMF池田優真(3年=作陽高)にゴールを許した。指揮官は1点目のシーンを「あの一瞬、エアポケットのようになった」と悔やむと、2失点目については「あそこでDFラインを上げられないのが……」と険しい顔。須佐監督は「まさかあそこで呉屋を空けるとは……」「あの一瞬を空けちゃいけなかった」と幾度も言葉を繰り返し、エース呉屋へ隙を与えてしまったことを悔やんでいた。

 今季の阪南大は関西学生リーグを16勝5分1敗で終えると、2年ぶり7回目の優勝を果たし、全日本大学選手権へ乗り込んだ。そして、今大会では2大会ぶりとなる4強入り。しかし須佐監督は「関西リーグで優勝したが最後の2試合は引き分けだった。本当の意味で力がないということ。大いに力をつけていかないと」と来季を見据えた。

(取材・文 片岡涼)
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