beacon

[大学選手権]「肝っ玉が違う」1年生DF今津がエース封じる

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.21 大学選手権決勝 流経大1-0関学大 味フィ西]

 1年生DFが大役を果たしてみせた。流通経済大DF今津佑太(1年=流通経済大柏高)は関西学院大のエースFW呉屋大翔(3年=流通経済大柏高)を徹底マーク。シュート0本に抑え込み、完封勝利の陰の立役者となった。

 試合後、今津は淡々とした表情で「(呉屋さんは)色々な駆け引きをしてくる選手。総理大臣杯で対戦したときもそうだったが、自由にプレーさせないことが自分のミッションだった」と振り返り、「危ういシーンもあったが結果的に呉屋さんにシュートを打たせなかったというのは、しっかり守れたということなのでは」と話した。

 「学年は関係ないんです。あいつは肝っ玉が違うんですよ」と中野雄二監督は今津について笑って話す。今津を象徴する出来事がある。今大会準々決勝の大阪体育大戦。1-1で迎えたPK戦で相手1人が外し、5人目の今津へと順番が回ってきた。決めれば流通経済大の4強入りが決まる大事な場面。ハーフラインから鼻歌を歌い始めた今津は、GKと向かい合いながらも、歌をやめることはせず。堂々と一小節を歌いきると右足を振りぬいた。今津のシュートは決まり、PK5-3で勝利した流通経済大は4強入りを決めた。

 今津は鼻歌によって、「気持ちを高ぶらせたり、緊張している心を落ち着かせたりしているんです」と話す。試合前のロッカールームでは、DF鈴木翔登(4年=流通経済大柏高)が合いの手を入れ、今津が歌うのが流通経済大にとっての「今シーズンのルーティーン」だという。指揮官は「音痴なのが玉に傷」と笑い飛ばすが、1年生と思えない今津の精神力の強さを褒め称えていた。

 奇しくもこの日マークした呉屋は、高校時代の先輩だが「自分は1年坊で呉屋さんは3年生。トップでバリバリやっていて、接点もほとんどなかった」という。それでも、この日は日本一の座をかけてピッチの上で互角にやりあった。「高校1年のころに比べたら想像できないこと。だからこそ負けちゃいけないし、すごい選手を止めることで自分も評価されると思っていた。アグレッシブにチャレンジすることができたと思うし、自信につながった」。早くも先を見据えた1年生DFは「流大の歴史に新たな1ページを刻めた。それを継続していければ」と落ち着いた口調で語った。

(取材・文 片岡涼)
▼関連リンク
第63回全日本大学選手権特設ページ

TOP