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[Jユースカップ]「攻守の切り替え」「流れを読む」「球際で負けない」“らしさ”発揮の鹿島ユースが決勝進出!!

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[12.20 Jユースカップ準決勝 鹿島ユース 3-1 清水ユース ヤンマー]

 12月20日、ヤンマースタジアム長居を舞台に2014Jユースカップ 第22回Jリーグユース選手権大会準決勝が行われた。その第2試合では、第12回大会(2002年)以来の優勝を狙う鹿島アントラーズユースに対するのは第13回大会(2005年)以来の優勝を狙う清水エスパルスユース。降りしきる雨の中、まさに「死闘」と呼ぶべきゲームが展開されることとなった。

 トップチームに帯同していた水谷拓磨も戻って来た清水は、負傷明けでコンディションが万全でないU-19日本代表FW北川航也を温存しつつ、水谷を最前線に置いた“ゼロトップ”の布陣でスタートすることに。対する鹿島は、昇格内定のFW鈴木優磨が累積警告によって出場停止のため、2年生FW武田諒太が先発。双方ともにエース不在の中でのキックオフだった。

 清水優位の下馬評もあったが、“らしい”形で先制点を奪ったのは鹿島の方だった。前半9分、鹿島FW吉岡樹利也のシュートがブロックされた後のこぼれ球が勝負を分けた。ボールの先にいたのは清水MF西澤健太だったが、拾うと同時に猛然と距離を詰めたMF大橋尚志の守備が効く。このチェックをかわした西澤はさすがだったが、その直後に今度はシュートを放った吉岡が猛然とディフェンス。たまらずミスしたボールの先にいたのは、先発抜擢の武田。冷静にシュートを放って、ゴールネットを揺らした。1年にわたって熊谷浩二監督が強調してきた「攻守の切り替え」がまさに出た会心のゴールだった。

 こうなると、試合のペースは勢いのある鹿島に傾くことになったが、清水も前半終盤から立て直し、ハーフタイムを挟んでさらに盛り返していく。水谷が中盤の守備へ積極参加するようになって数的優位を作る場面が増えると、後半6分にはMF沼野誠也の絶妙なスルーパスから抜け出したMF宮本航汰が同点ゴールを奪い取る。これで完全に流れをつかんだ清水が鹿島を押し込んでいくゲーム展開となった。

 しかし、鹿島は折れなかった。劣勢の試合展開に慣れていないチームでもない。献身的に守る主将のMF千葉健太らを中心として攻勢に粘り強く対応。26分に清水がエース北川を投入して勝負に出ると、逆に28分だった。スローインの流れからの遅攻で左SB大里優斗のハイクロスに合わせたのは、途中出場の右SB寺門宥斗。得意のジャンプヘッドが火を噴き、勝ち越しゴールをもぎ取った。「試合の流れを読む」こともまた、熊谷監督が叩き込んできた鹿島イズム。清水が2点目を欲した空気感の中で、貴重な1点が生まれた。

 このゴールで再び試合の流れは反転した。北川投入で強引なプレーも増えてきた清水に対して鹿島は個々のDFが体を張って粘り強く対応。「球際で絶対に負けない」(千葉)という“鹿島らしさ”を発揮してしのぐと、37分にはFW色摩雄貴の突破からMF平戸太貴が追加点。そのまま3-1のスコアで逃げ切った鹿島が、23日にヤンマースタジアム長居で行われるガンバ大阪ユースとの決勝戦へと駒を進めた。

[写真]“鹿島らしさ”が詰まった先制点を決めた武田

(取材・文 川端暁彦)
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