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[選手権]ユース取材ライター陣による「選手権展望」vol.3

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特集企画「ユース取材ライター陣による『第93回全国高校選手権展望』」

 第93回全国高校サッカー選手権開幕まであと3日! ユース年代を主に取材するライター5氏に大会の見所や優勝争いの展望、無名の注目校、初戦注目カードなどを紹介してもらう「ユース取材ライター陣による『選手権展望』」の第3回は、(株)ジェイ・スポーツのJリーグ中継プロデューサーを務める傍ら、ユース年代のチーム、選手を取材する土屋雅史氏に、初戦の注目カード数試合の裏側にある過去の対戦成績、相性など、データによる見どころを紹介してもらっています。

 開幕戦で対戦するのは三鷹高(東京B)と東福岡(福岡)。東京勢と福岡勢の対戦成績(首都圏開催のデータ。以降も同様)は福岡の5勝2敗。東福岡に限ってみれば、帝京高を下した2度のファイナルを含めて3戦全勝という数字が出ている。ただし、東京勢の2勝はいずれも開幕戦で挙げたもの。どちらの相性の良さが証明されるか。

 4年ぶりに全国へ帰ってきた静岡学園高(静岡)。初戦でぶつかるのは佐賀東(佐賀)だが、直接対決で下した85回(06年度)を含め、佐賀勢とは過去3戦3勝と抜群の相性を誇る。さらに静岡勢自体も佐賀勢には6戦6勝と負けなし。データ上は勝利を後押ししているが果たして結果は。

 優勝候補の一角に挙げられている前橋育英高(群馬)の初戦は初芝橋本高(和歌山)が相手。実は前橋育英は和歌山勢にやや分が悪い。70回(91年度)は新宮商高にPK負け。78回(99年度)こそ今回も対戦する初芝橋本に勝っているが、86回(07年度)は近大和歌山高に敗れている。このデータを跳ね返せるかにも注目したい。

 優勝経験校同士の対戦として注目を集めている山梨学院高(山梨)と滝川二高(兵庫)の一戦。両者の直接対決は過去に一度もないが、山梨勢と兵庫勢の対戦成績は2勝2敗とまったくの五分。77回(98年度)では林丈統の滝川二が深井正樹の韮崎高に勝利し、90回(11年度)では後藤寛太の市立西宮高が白崎凌兵の山梨学院に勝利している。勝利数で上回るのはどちらになるか。

 ここまでのデータとは毛色が違うが、4度目の全国出場となる中津東高(大分)のくじ運にも触れておきたい。初出場の88回(09年度)は長澤和輝率いる八千代高(千葉)、91回(12年度)はベスト8まで躍進した帝京長岡高(新潟)、前回の92回は2人のJ内定者を抱える市立船橋高(千葉)と、いずれも強豪と当たって初戦敗退の憂き目にあっている。今回も1回戦で対峙するのは初優勝を虎視眈々と狙う青森山田高(青森)。選手たちにとって貴重な経験になることは間違いないが、くじ運が良いのか悪いのかの判断は人によってまちまちかもしれない。

 最後に今大会出場校の中で、最もよく対戦しているのが青森山田と高川学園高(山口、対戦時の校名はすべて多々良学園)。74回(95年度)を皮切りに、77回(98年度)、79回(99年度)、84回(05年度)と過去に4度も顔を合わせており、通算成績はお互いに2勝2敗となっている。74回は藏川洋平のゴールなどで多々良学園が4-0と快勝すると、77回はアイウソンの活躍で青森山田がリベンジ。79回も初戦で青森山田がPK戦を制して国立まで駆け上がり、84回はロメロ・フランク伊東俊などのちのJリーガーを5人擁した全国高校総体王者の青森山田を、後半アディショナルタイムの2ゴールで逆転した多々良学園が下している。今回両者が顔を合わせるとしたら準決勝。5度目の再会は実現するか。

 93回の歴史を誇る高校選手権。こういうデータを調べて観戦するのも、1つの楽しみ方としてオススメしたい。
土屋氏の挙げる大会本命、対抗、ダークホース、注目校、初戦注目カード、得点王候補

■本命=東福岡高
■対抗=前橋育英高
■ダークホース=履正社高
■注目校=三鷹高、國學院久我山高 
■初戦注目カード=流通経済大柏高vs作陽高日大藤沢高vs徳島市立高昌平高vs米子北高 
■得点王=渡邊凌磨(前橋育英高)

[写真]優勝候補の一角、前橋育英は分の悪いという和歌山県勢との初戦を突破して勝ち上がるか?

■執筆者紹介:土屋雅史
(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。

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