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[選手権]流経柏、PK戦前に守護神が負傷も…緊急出場の瀬口がPKストップ

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[12.31 全国高校選手権1回戦 流通経済大柏高3-3(PK8-7)作陽高 フクアリ]

 出番は突如、訪れた。後半アディショナルタイムの劇的ゴールで3-3の同点に追いつき、PK戦に持ち込んだ流通経済大柏高(千葉)だったが、試合終了間際のプレーでGK鳥井翔太(3年)が右膝を負傷するアクシデント。PK戦開始前に鳥井に代わってGK瀬口隼季(2年)が入った(競技規則では、交代枠が残っている場合、PK戦を行っているときもGKの負傷時に限り、GKの交代が認められている)。

 本田裕一郎監督によると、鳥井は右膝前十字靭帯を負傷。「膝が動かない」という重傷だった。鳥井から「頼むぞ」と声をかけられ、県予選では登録メンバー外だった瀬口が急きょPK戦のゴールを守ることに。「公式戦でPK戦は初めてだったけど、緊張というより、止めることだけを考えていた」。PK戦の最中も絶えず「止める、止める」とつぶやいていたという瀬口。3人目まではすべて逆を突かれるなど、なかなか読みが合わなかったが、慌てなかった。

「自分が思ったほうに飛んでいたので、それが当たらなかっただけ。止めたときも、たまたま当たっただけ」。7人目まで全員に決められたが、自分を信じて飛び続けた。そして迎えた8人目、キッカーに向かって左に飛ぶと、読みどおりに来たボールに必死に左手を伸ばし、かき出した。

 後攻の流通経済大柏は8人目のFW福井崇志(3年)まで全員が成功し、PK8-7。「PKは全然得意じゃない。むしろ弱いぐらい」という背番号25のPKストップで死闘を制した。「自分が勝利に導いたというより、最後の最後で(追いついてPK戦まで)つないでくれたフィールドの選手や鳥井さん、みんなでつかみ取った勝利だと思う」。鳥井の状態を考えると、次戦以降はスタートから瀬口がゴールを守る可能性が高い。「自分の中では問題ない。自信はあるし、準備はしてきた」。守護神の負傷というアクシデントを乗り越え、チームは一丸となって1月2日、矢板中央高(栃木)との2回戦に臨む。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)
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