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[MOM1270]尚志DF佐藤誉晃(3年)_メッセージに背中押された元FWが、エースの代わりに千金弾!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 尚志高 2-0 広島皆実高 柏の葉]

 ピッチへ送り出される直前、ふたつの言葉が背番号20の背中を押した。尚志高は0-0の後半24分、本来CBの佐藤誉晃(3年)をFWとして投入。小学1年から高校2年までFWを務めていたという183cmDFは29分、左ロングスローをニアサイドのCB山城廉主将(3年)が競り勝つと、相手DFと競りながら後頭部でゴールへプッシュ。値千金の先制点を上げた。

 この日、尚志は注目エースのFW林純平(3年)が以前から抱えていた左内転筋負傷の影響によって前半27分で交代。その後エース不在の戦いを強いられていた。苦しい展開の中で「残り20分くらいで行くと言われていた」という佐藤は「初戦で負けちゃうと純平も治った時に出れない」という勝利への強い思いを抱いていたという。そして0-0のまま残り20分を切り、佐藤に出番が訪れる。林から「『頼む』って言われて、『できるぞ』みたいなことも言われました」と声をかけられた佐藤は勇気を得てピッチに入り、白星を大きく引き寄せる先制点を決めた。

 佐藤に対しては仲村浩二監督もメッセージを送っていた。「ここでやらなかったら男じゃねーぞ」。これに対して「やってやろうと思いました」と火のついた佐藤は強気のプレーで先制ゴールと2点目に繋がる鋭いランニング。チームを勝利へ導く佐藤の奮闘に指揮官も「覚悟を決めてやってくれたと思います」と喜んでいた。

 佐藤は夏の全国高校総体は先発CBとしてチームの全国16強に貢献。高さと強さ、スピードを兼ね備えたCBとして注目を集めていた。ただ9月に太腿部を痛めた佐藤は約1か月半離脱。今大会はCBの主力としてではなく、林が負傷を抱えていることもあってFWとしての準備をしてきている。ただ昨年、FWとして林とコンビを組み、エース格だったという佐藤は得点シーン以外でも縦への鋭いドリブルで局面を破り、前線からのプレスでチームに貢献した。仲村監督も「能力的には素晴らしいものを持っているので、この選手権で化けてくれればと思っているんですけど。スピード、高さ、テクニックもあるし、ボールの飛距離とかもふつうの高校生よりは飛ぶんじゃないかってくらい」という才能。現在はCBのポジションにこだわりを持っている佐藤だが、エースが怪我を抱える中、チームのためにゴールハンターとしても全力で戦い抜くつもりだ。

(取材・文 吉田太郎)
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