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[選手権]神奈川県勢初の日本一へ、日大藤沢が15年ぶりの8強進出!!

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[1.3 全国高校選手権3回戦 開志学園JSC高 0-3 日大藤沢高 ニッパ球]

 第93回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行った。ニッパツ三ツ沢球技場で行われた地元・神奈川代表の日大藤沢高開志学園JSC高(新潟)戦は日大藤沢が3-0で快勝した。日大藤沢は5日の準々決勝で静岡学園高(静岡)と戦う。

 日大藤沢が99年度大会以来15年ぶりとなる8強進出を果たした。就任1年目だった07年度大会で16強を経験している佐藤輝勝監督は「7年前に就任してその時の子たちと『日本一になる』と。『君たちも社会で何かひとつ日本一になりなさい』と言って送り出しました。今そのチャンスが来ていると思っていますので、彼らに一番最初に約束した今大会で一気に頂点をということを守っていきたいと思います」と宣言。MF中村恒貴(3年)は「神奈川代表としてもしっかり勝つしかない。神奈川は優勝していない。自分たちの代で歴史変えたいと思っています」と言い切った。

「相手が今大会一番縦に速いチームだぞ、ということでしっかり自分たちの斜めに動かすサッカーと勝負だよと。いかに集中力を持って臨むか」。指揮官の期待に応えるように日大藤沢が前半から躍動する。素早いアプローチからダイナミックな攻撃につなげる日大藤沢は圧倒的なボールスキルを持つ“日藤のマラドーナ”MF田場ディエゴ(3年)と右MF佐藤拓|佐藤拓(36636)(2年)との連係や左MF中村の飛び出し、また前線で奮闘するFW栗林大地(3年)を起点とした攻撃から開志学園ゴールへ迫っていく。18分には自陣右サイドから田場が対角線上に入れたクロスボールに中村が反応して決定的な左足シュート。21分には右サイドの田場からの折り返しをMF西尾隼秀(2年)が左足で叩いた。一方、1トップに位置するFW染野伸也(3年)のドリブル突破やセットプレーから先制を狙う開志学園JSCは15分、前日の2回戦でスーパーFKを決めている左SB高橋颯人(3年)の後方からのFKにCB岡田龍磨(3年)が飛び込むなど1チャンスをものにしようとする。。

 だが、開志学園JSCはMF伊藤大貴主将(3年)が「太陽の向きとか眩しくてヘディングでしっかりと競れていなかったし、(日大藤沢は)デカかったです。FWの子とかが。それでセカンドボールが拾えなくて悪い流れになってしまった」と振り返ったように日大藤沢に流れを掴まれてしまう。個々の技術の高さも発揮して厚みのある攻撃で10,500人の地元観衆を沸かせる日大藤沢は、前半22分にスコアを動かした。右SB福屋凌平(1年)のオーバーラップからパスを受けた田場が縦へのドリブルでDF3人を抜き去りラストパス。これを中村が右足ダイレクトでゴールへ沈めて先制した。さらに27分、日大藤沢はドリブルで右サイドを持ち上がった田場のクロスのこぼれ球を拾った佐藤が、右足ミドルをゴール左隅へ突き刺して2-0へ突き放す。開志学園JSCの宮本文博監督は「2点までなら何とか策はあるかなと思っていたんですけど、前半の最後が痛かった」。その「痛かった」3点目が勝敗の行方を大きく傾けた。日大藤沢は佐藤のパスでDFの背後へ飛び出した田場がGKの前でコントロール。GKから離れながら体勢を立て直して放った右足シュートがゴールを破って3点差となった。

 そして後半、日大藤沢は成長した姿も見せる。前日の高川学園高戦は2-0の後半4分に失点。相手の反撃を許し、3-2で何とか振り切った。ただこの日、日大藤沢は相手の追撃を許さない。後半開始から大坪奨(1年)とDF山村弘大(3年)を同時投入した開志学園JSCはポゼッションの時間を伸ばし、大坪やFW関瑞樹(3年)が仕掛けからまず1点を奪い返そうとする。9分に左後方から高橋が入れたロングフィードに反応した大坪がダイレクトで右ポスト直撃の右足シュート。30分にはPAでの連続シュートであわやのシーンをつくった。日大藤沢は押し込まれる展開となったが、CB小野寺健也(2年)とCB金井勇人(3年)中心に、PAでの集中力を切らさず凌ぎ切って無失点勝利。佐藤監督も「昨日も前半立ち上がり良かったです。後半これを10分続けるのが本物だと言った中で5分で失点してしまって。(ただ、きょうは)ボクが言う前に、子どもたちが『昨日失点しているぞ。立ち上がりもう一回集中するぞ、やってきていることを続けよう』と言っていた。後半もう一回入ろうと続けていったので、半歩かもしれないけれど昨日よりも成長してくれている」と目を細めていた。

 7年ぶりの出場で見せている快進撃。日大藤沢の選手たちには桐光学園高や桐蔭学園高、麻布大附高、湘南工科大附高など強豪揃う神奈川県予選を突破さえすれば、全国で戦うことができると考えていた。栗林は「神奈川は本当にレベル高くて。でも、神奈川出れればやれると思っていた」。その快進撃はどこまで続くか。日大藤沢は準々決勝で初の4強進出を懸けて、「(総体王者の東福岡を破り)今、一番勢いに乗っているのが静学」(佐藤監督)という名門・静岡学園に挑戦する。
 
(取材・文 吉田太郎)
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