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[MOM1303]京都橘GK矢田貝壮貴(1年)_プレミアで自信を付けたPKストッパー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権2回戦 國學院久我山 0-0(PK1-3) 京都橘 駒沢]

 強い想いが、相手を上回った。京都橘高の米澤一成監督は試合後に明かす。「インフルエンザになった選手を含めて、5人がメンバー入りできなかった。彼らと、もう一度一緒に戦いたいという気持ちが、選手たちにはあったと思います」。

 主力のMF仙頭啓生(3年)、DF清水遼大がインフルエンザに倒れたのに加え、ベンチ入りする予定だった3選手も、体調不良でベンチ外になった。國學院久我山高との戦いでは、まずは失点しないことを考えた戦いを強いられた。選手たちは、そのプランを遂行。得点こそ挙げられなかったが、0-0のまま、PK戦に突入した。

 PK戦の前、京都橘の1年生GK矢田貝壮貴は、先輩たちから次々と「これを止めたらヒーローになれるぞ!」と声をかけられたという。「PK戦は、自信がありました。プレミアリーグの広島ユース戦で、あのときは試合中のPKでしたが、止めていたので」という矢田貝だが、その頭の中にあったのは、自身がヒーローになることではなかった。

「自分がヒーローになることよりも、『とにかく一本は絶対に止める』という気持ちでした。今日の試合に出ていない選手と、また一緒にプレーできるように、その分も頑張ろうと思っていました」と、PK戦の前の心境を語る。

 京都橘が2-1でリードして迎えた國學院久我山の3本目のキッカーのシュートを、矢田貝は正面でストップ。続く4人目のシュートにも反応。「手で触りました」というボールは、左ポストを叩き、この瞬間に京都橘の勝利が決まった。「國學院久我山は、前の試合でもPK戦をやっていたので、データは自分の中に完璧に入っていました。最後のキッカーだけはデータがなかったのですが、勘で飛びました」と、矢田貝は胸を張った。

 京都橘の3大会連続ベスト8進出に大きく貢献した1年生守護神は、過去2度の大会でも京都橘の戦い見ていたという。特に前回大会は国立競技場で準決勝を観戦。「来年は、あの舞台に自分も立つんだ」と、京都橘へ進学することを決意する一戦になったと明かした。

 自身が目標に掲げていたベスト4まで、あと1勝。「今年は埼玉スタジアムが会場ですが、舞台が変わっても、目指すのは頂点。そこは変わりません」とキッパリ。米澤監督は、この日の試合に欠場した主力が5日の試合には戻れる見通しであることを明かしており、矢田貝は一緒に戦うことを熱望していた先輩たちと、再び頂点を目指す。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 河合拓)
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