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[MOM1305]流通経済大柏MF久保和己(3年)_攻守で見せた圧巻のハードワーク

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 流通経済大柏高 3-0 立正大淞南高 フクアリ]

 試合中に見せる数えきれないほどのスプリント。ルーズボールが転がれば、フルパワーで走り抜き、相手のボールホルダーには獲物に襲い掛かるかのごとく激しくプレスをかけていく。そしてボールが足下に入れば、重心の低いドリブルで相手の守備網を切り裂いた。流通経済大柏高の快勝の原動力となったのは、MF久保和己(3年)の走りとアグレッシブな突破であったこと間違いない。ただ、圧倒的な運動量で走りぬいた試合後も「自分サイドなんですけど、(プレッシングを)逆サイドバックまで行っちゃうくらいじゃないと、これから勝っていけないかもしれない」「もっと球際の部分で相手を吹っ飛ばすくらいに」とハードワークがまだまだ物足りなかった様子。それでも現在、右サイドの背番号11が流経大柏全体を走らせている。

「サイドを攻略するであったり、きょうでいうとプレスだったり、そこは貢献できると思っている」という久保はこの日、得点に繋がるビッグプレーも連発した。まずは前半25分、中央でボールを受けた久保は相手に厳しいチェックを受けながらも馬力で敵陣中央まで運んでFKを獲得。「前向いたら、とにかく仕掛けるのが自分のテーマ。あれで倒れないで、自分でシュートを決められたら良かったんですけど」と言いつつも、そのFKからMF渋谷峻二郎(3年)の先制ゴールが生まれた。さらに31分には右FKからMF小川諒也(3年)のパスを引き出し、フリーでゴール方向へ向かうとシュート性の高速クロス。それをCB山田健人(3年)が右足で合わせて2-0となった。久保は「山田触らなくても入っていたんですよ。その瞬間自分のゴールだと思って喜んでいた。掲示板見たら山田で、あれ? って」と残念がっていたが、それでも久保の攻撃力が前半で2点のアドバンテージをもたらした。

 そして後半には19分にPAへ飛び込んでPK獲得。このPKは小川が止められたものの、その後も止まらない久保は槍で相手の守りを突き破るかのようにドリブルで大きく前進し、オフ・ザ・ボールでスペースへと飛び出していく。また守備面でも前線からの圧巻のプレス、スライディングで相手の攻撃をかく乱した。特に26分には中盤で失ったボールを自ら取り返すためにGKまで猛然とプレス。そのキックが頭部に直撃して激しく転倒したが、「当たって湧いたのでこれ入ったかなと思った」と微笑んだMFは苦しい時間帯でも自らに鞭打つかのように走り続け、観る者の心打つようなプレーでチームをけん引した。そして「気持ちの部分で絶対に負けたくなかった」。

 地元・柏出身。07年度大会で初優勝した流経大柏を当時小学生だった久保は国立競技場で観戦している。「強いな、恰好いいなと思っていた」という流経大柏のユニフォームをより輝かせている久保が先輩たちに続く日本一へ準決勝、決勝も全力で走りぬく。 

(取材・文 吉田太郎)
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