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[選手権]5人目のキッカー務めた前橋育英FW坂元、「プレッシャーより、わくわく感があった」

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[1.10 全国高校選手権準決勝 流通経済大柏高 1-1(PK4-5)前橋育英高 埼玉ス]

 勝利を決めるPKを沈めた瞬間、一目散に応援スタンドへ駆け寄った。しかし振り向いてみると、後ろからチームメイトは駆けつけず……。PK戦で5人目のキッカーを務め、成功させた前橋育英高FW坂元達裕(3年)は、「みんな後ろから来ると思って走ったんですけど。なんでですかね。誰も来ていなくて恥ずかしかった」と苦笑した。

 土壇場で追いついて迎えたPK戦。先攻の流通経済大柏高が1人外し、最終キッカーの坂元へ順番が回ってきた。相手GKにコースを読まれないため、正面からボールへ走り込むと左足を振りぬいた。「ゆっくり入って、蹴る直前にスピードを上げて、タイミングをずらそうという狙いがあった」と坂元は明かす。冷静な一撃はゴールネットを揺らし、この瞬間にPK5-4で前橋育英の勝利が決まった。同校史上初の決勝進出を坂元の左足で勝ち取ったのだ。

 これまでは「メンタルが弱い」といわれていたこともあり、「こういう場面では蹴らないタイプだった」と過去の自分を振り返る。それでも、この日の大一番では、後半が終わった瞬間、坂元はPKで大事な5人目のキッカーを務めることを告げられた。PK戦で勝利した山梨学院大付高戦では、4人目を務めていたが、最終キッカーを務めるのは初めてのこと。それでも「練習ではほとんどPKを外したことがないので、いつも通りやれば決められると思った」という。

 たしかにプレッシャーはあった。それでも「これで勝つというわくわく感のほうがあった。みんなの応援もあったので、絶対に入ると思った」。冷静さを保ったFWは平常心で左足を振りぬき、シュートを決めた。

 中1日で迎える決勝戦へ向けて、坂元は「優勝しないと意味がない」と力を込める。そして、山田耕介監督を「胴上げしてあげたい」と強く誓った。

(取材・文 片岡涼)
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