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[選手権]敗れた日大藤沢DF吉野主将は星稜高を賞賛、「これが勝者のメンタリティー」

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[1.10 全国高校選手権準決勝 日大藤沢高 0-3 星稜高 埼玉ス]

 主将はベンチからチームを鼓舞し続けた。日大藤沢高のDF吉野敬(3年)主将は昨年7月末に左足首を負傷。骨へ3本のボルトを埋め込む手術を受けると、懸命のリハビリの末に、本大会ではベンチ入りを果たすまでに回復した。この日の試合で出番はなかったが、失点して落ち込むチームをピッチ脇から支え、声を張り続けた。

 試合前から緊張はなかったと話す日大藤沢高の選手たちは「楽しんでやろう」とピッチへ立った。平常心だったと強調するイレブンだが、外から見ていた吉野主将は「いつもと違う雰囲気」だと感じていたという。

 試合が始まってみると、浮き足立つ日大藤沢は前半22分に痛恨のオウンゴールで失点。同35分には早くも2失点目を喫した。ピッチ上の選手たちは円陣を組み、FW田場ディエゴ(3年)とMF中村恒貴(3年)を中心に、「まずは前半のうちに1点を返そう!」と声を掛け合った。しかし、立て直す間もなく、前半終了間際のアディショナルタイム1分にはPKを謙譲。これを決められると、0-3で前半を折り返した。

 ハーフタイムには「相手が45分間で3点を取ったなら、俺たちだって45分で3点取れるぞ!」と檄が飛び、「開始10分以内に点を取ろう」と選手たちは意気込んだ。しかし、後半もゴールは遠く。そのまま試合は終了し、3失点の零封負けとなった。

 試合を振り返った吉野主将は「外から見ていて、やりきれていないなと思った。アグレッシブさに欠けていた」というと、「向こうは90分間も集中を切らさずにいた。そういうチームが上にいくんだなと。勝者のメンタリティーというか、動じないメンタルがあった。僕らのなかには『日本一』が近づくなかで、どこかに『やばい』という気持ちがあったんだと思う」と冷静に分析した。同じく田場も「どこかで『星稜』の名にビビッて腰が引けていた部分があったんだと思う」と話した。

 とはいえ決勝進出はならなかったものの、初の4強入りを果たした日大藤沢は、“桜旋風”で大会を盛り上げた。チームを率いた主将は「負けてしまったが初の4強入りを出来たことは来年につながると思う。自分たちより上を目指して、後輩たちには頑張って欲しい」とエールを送った。

(取材・文 片岡涼)
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