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[MOM1310]星稜FW森山泰希(3年)_準Vを経てタフになったストライカーが2年越しの優勝決定弾!!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.12 全国高校選手権決勝 前橋育英高 2-4(延長)星稜高 埼玉]

「ここで終わったらダメだ、去年と一緒になるぞ。諦めるな、耐えたらチャンスはくる」。後半10分に試合をひっくり返された星稜高(石川)。2失点目を喫した直後、星稜イレブンの輪でFW森山泰希(3年)はそうチームメイトを鼓舞していた。

 思い返されたのは、昨年度の富山第一高(富山)との決勝戦。先制した星稜は森山のヘディング弾でリードを2点に広げながら、後半42分からの2失点で延長まで持ち込まれ、延長戦で逆転を許すと、富山第一に優勝を譲った――。あれから1年、2度目の選手権決勝に臨む黄色い戦士たちの闘志が尽きることはなかった。「まだ時間はある。次に1点取るのは俺らだと思っていた」(森山)。ビハインドから9分後にはDF原田亘(3年)の得点で試合を振り出しに戻すと、延長前半5分に森山がGKのニアサイドを破って勝ち越し、さらに延長後半の終了間際には、観衆の度肝を抜く弾丸ミドルを森山が前橋育英高(群馬)ゴールに突き刺し試合を決めた。

 決勝で今大会初得点を含む2ゴール。2回戦に後半6分に退場処分となり3回戦は出場停止、準々決勝は先発復帰しながらも後半22分で退くなど、プレー時間が限られていたとはいえ数字だけ見れば星稜のFWとしては物足りなく映る。だが、背番号11のフォア・ザ・チームの姿勢は、確実に優勝への原動力になっていた。攻撃時はポストプレーだけでなく、サイドに開いてチャンスメイクをし、守備時はファーストディフェンダーとなって最終ラインやGKを追い回した。「自分が得点を決めるというより、チームが勝つことを優先してきた」という森山は「(得点がなくて)悔しく見えるかもしれないですけど、自分的にはそんなに……。チームが勝てればそれでいい」と準決勝まで無得点だったことは意に介さない様子。そんな森山に対して、木原力斗監督代行は「いいところは得点を取る以上に、走って、体を張って、チームを勢いづかせること。彼にしかできない」と最大級の賛辞を贈る。

 昨年度の決勝は、チームとしてだけでなく、森山個人にとっても大きな教訓となった。2-0とリードした後半30分、「前線からプレスをかけて息切れになっていた」ストライカーはピッチを後にすると、その後苦境に立たされるチームをベンチで見守ることしかできなかった。「今年1年フル出場できる選手になる、という目標を立ててやりました」。今年度の決勝ではその1年間の成果として、延長まで110分フル出場し、2ゴールを記録した。

 試合前に病床の河崎護監督から贈られたメッセージでは「思わず涙した」というヒーローは、高校サッカー最後の舞台では笑顔で優勝を噛み締めていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)
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